日本でも「扶桑社版」といわれた右派の「新しい歴史教科書」は左派などの妨害工作で採択は不振だった。それでも一般書籍として出版されベストセラーになっている。そこで韓国の「教学社版」も一般向けに出版を考えているが、妥協が過ぎては特色がなくなり逆に売れないだろう。

 採択騒ぎをめぐって韓国メディアで面白い場面があった。朝鮮日報など保守系メディアは当然、左派サイドの採択反対運動を「多様な教科書・自由な選択」に対する妨害と激しく非難した。これに対しハンギョレ新聞など左派は「日本の扶桑社教科書の採択阻止では『市民の良識の勝利』などともてはやしていながら……」と皮肉ったのだ。

 韓国の保守派や右派のダブルスタンダードを痛烈に非難したのだが、日本の新歴史教科書に対してはメディアはもちろん、政府まで外交問題にして「日本の良識に期待する」などと採択反対の圧力をかけている。

 自国で「多様な教科書・自由な採択」を主張しながら、日本の教科書問題では「自由」を認めない。他国の教育に介入、干渉して平気なのだ。韓国では反日に目がくらむと常識が通用しなくなる。

 新教科書は左派からは「親日・独裁擁護」などと罵倒されたが、中身はとてもそんなものではない。日本統治時代の人口増や多様な社会発展、それに戦後韓国の経済発展など事実を控えめに記述したに過ぎない。それでも韓国の歴史学界を支配する左派は気に食わない。既存の左派寄り教科書は依然、韓国より北朝鮮の体制の方が立派といわんばかりの内容になっている。

 朴槿惠大統領は国内でさえ「正しい歴史認識」をめぐって大もめし対立が続いているのに、それを日本に性急に求めるなど、どだい無理というものだ。

※注:本稿締め切り後、1校でのみ採択された

※SAPIO2014年3月号

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