「2008年のリーマンショック以降、小さくて安いクルマが売れるようになりました。その結果、車内が狭く快適ではない“安かろう悪かろう”というクルマも増えてしまった。小さいクルマだって、いや小さいからこそ快適に過ごせる車内空間を確保すべきです」
新型『フィット』の最大の“売り”はハイブリッドシステムによる低燃費だが、中にはHVは要らないという人もいる。そういった層に選んでもらうには、広くて快適な車内空間は大きなアドバンテージとなる。
小西はドアの位置、シートのサイズ、レイアウトなどを幾通りも試しては、もっとも効率的なシートの位置を割り出していった。
懸案だった海外での“割高感”も、現地生産する工場に部品を独自調達させたり、他車と部品の共有化を図ることなどで解決した。
「こうして新型『フィット』は、リッター36.4kmという超低燃費、小型車とは思えない車内の広さ、ホンダ車らしい楽しい走り、そして手ごろな価格といったすべてのバランスがとれたクルマに仕上がったと自負しています」
小西が自信を持って語るように、新型『フィット』は2013年9月に発売されるや、同年10~12月の新車販売台数トップに輝いている。
(文中敬称略)
■取材・構成/中沢雄二
※週刊ポスト2014年2月21日号