ライフ

顎関節症で自殺考えた元日テレアナ「歯では死なないは錯覚」

顎関節症の苦しみを語る日テレ学院院長の石川牧子さん

 歯といえば、体の不調や病気と違い虫歯程度では放置しがちなパーツ。ところが、この歯が命を左右することもある。30代で顎関節症による不調に悩まされ「自殺を考えた」と明かすのは、元日テレアナウンサーでタレントやアナウンサーなどの人材育成を行う日テレ学院院長の石川牧子さん。そんな石川さんが顎関節症を通して知った歯の重要性について、小顔トレーニング本『若返りあごトレ』(小学館)の監修者で“Dr.ドラゴン”ことトルナーレデンタルクリニックの龍信之助院長と語り合った。

石川:私もそうでしたけれど、みなさん、何か病気とは違って歯では死なないと思っていますよね。ところが、それは誤解と錯覚です。私は歯が原因で自殺しようと思いましたから。歯ひとつで精神的な不定愁訴がものすごく多く出てくることを経験しました。

 私が顎関節症になったのは、アナウンサーになって10年目の頃です。各局しのぎを削る激戦区のニュースを担当していた時で、ある日、原稿を読む速度のコントロールが全くできなくなってしまいました。読めば読むほど早口になってしまう。これでは伝わらないと思いながらも制御できない。自分でもイライラするし、そのうちに呼吸が苦しくなって番組に出られず診療室へ。次の日から出演しなくなったんです。私の場合はそこから始まりましたね。

龍:顎関節症はどういう経緯でわかったのでしょう?

石川:歯が原因なんて思いませんから内科、神経内科、東大の音声言語学研究施設まであらゆるところへ行きましたが、「病気ではないでしょう」とか「治りません」のひと言。当時は30代で現役バリバリでしたから、本当に絶望しました。とうとう精神科に行き、うつ病と診断されて抗うつ剤をのむことに…。最終的に先輩の徳光(和夫)さんが紹介してくれた東洋医学の先生のところで、頸椎が全部ズレているということと、「歯医者に行きなさい」と言われて、歯医者で初めて顎関節症と診断されました。私は下の奥歯が1本足りず、隣の歯が倒れて低くなって高さの調整がうまくいかない上に、しゃべる仕事なので負荷がかかってズレたのではと言われました。

 病名に辿り着くまでに1年以上、本当に苦しかったです。例えばタクシーに乗っても、赤坂の「あ」も「か」も、一音一音が全身全霊を傾けないとなかなか言えない。ものすごく疲れて神経はクタクタになるし、すごく不安になって「こんなに疲れるなら死にたい」とまで思うようになりました。私がいちばん言いたいことは、歯が原因で不定愁訴が起こる怖さです。まさか1本の歯が原因でしゃべれなくなるなんて全く予想もしてなかったですから。

龍:石川先生のように、20、30代の女性に顎関節症は多いです。その原因の多くが日常生活の中での歯の食いしばりです。『若返りあごトレ』という本で書きましたが、食いしばり続けるのは筋トレを1日8~10時間やっているのと同じで、噛む筋肉、つまりあごを持ち上げる筋肉ばかりを鍛えてしまう。そのバランスが悪い状態であごを動かすから顎関節症になる。本来、咬合は食べる時だけにするもので、通常は上下の歯は1日5分くらいしか当たっていないものなんです。筋肉は筋膜で全身つながってるので、頭痛や肩こりを併発するケースも多々あります。

 でも実際は「心の病」から口腔内の症状を不定愁訴として訴える患者様も多いのも事実です。うちの父は「虎の門龍医院」の院長、龍倫之助で50年以上不定愁訴の治療をしています。神経からくる痛みなどの専門家ですが、父曰く、歯科で臨床症状が確認できない場合は精神科などと連携することが重要で、実際、歯科で治らないケースが内服薬でよくなる場合も少なくないとのこと。歯科と医科の連携によるアプローチがベストであると思います。

関連キーワード

関連記事

トピックス

「夢みる光源氏」展を鑑賞される愛子さま
【9割賛成の調査結果も】女性天皇についての議論は膠着状態 結婚に関して身動きが取れない愛子さまが卒論に選んだ「生涯未婚の内親王」
女性セブン
勝負強さは健在のDeNA筒香嘉智(時事通信フォト)
DeNA筒香嘉智、日本復帰で即大活躍のウラにチームメイトの“粋な計らい” 主砲・牧秀悟が音頭を取った「チャラい歓迎」
週刊ポスト
『虎に翼』の公式Xより
ドラマ通が選ぶ「最高の弁護士ドラマ」ランキング 圧倒的1位は『リーガル・ハイ』、キャラクターの濃さも話の密度も圧倒的
女性セブン
羽生結弦のライバルであるチェンが衝撃論文
《羽生結弦の永遠のライバル》ネイサン・チェンが衝撃の卒業論文 題材は羽生と同じくフィギュアスケートでも視点は正反対
女性セブン
“くわまん”こと桑野信義さん
《大腸がん闘病の桑野信義》「なんでケツの穴を他人に診せなきゃいけないんだ!」戻れぬ3年前の後悔「もっと生きたい」
NEWSポストセブン
中村佳敬容疑者が寵愛していた元社員の秋元宙美(左)、佐武敬子(中央)。同じく社員の鍵井チエ(右)
100億円集金の裏で超エリート保険マンを「神」と崇めた女性幹部2人は「タワマンあてがわれた愛人」警視庁が無登録営業で逮捕 有名企業会長も落ちた「胸を露出し体をすり寄せ……」“夜の営業”手法
NEWSポストセブン
中森明菜
中森明菜、6年半の沈黙を破るファンイベントは「1公演7万8430円」 会場として有力視されるジャズクラブは近藤真彦と因縁
女性セブン
食品偽装が告発された周富輝氏
『料理の鉄人』で名を馳せた中華料理店で10年以上にわたる食品偽装が発覚「蟹の玉子」には鶏卵を使い「うづらの挽肉」は豚肉を代用……元従業員が告発した調理場の実態
NEWSポストセブン
撮影前には清掃員に“弟子入り”。終了後には太鼓判を押されたという(時事通信フォト)
《役所広司主演『PERFECT DAYS』でも注目》渋谷区が開催する「公衆トイレツアー」が人気、“おもてなし文化の象徴”と見立て企画が始まる
女性セブン
17歳差婚を発表した高橋(左、共同通信)と飯豊(右、本人instagramより)
《17歳差婚の決め手》高橋一生「浪費癖ある母親」「複雑な家庭環境」乗り越え惹かれた飯豊まりえの「自分軸の生き方」
NEWSポストセブン
店を出て染谷と話し込む山崎
【映画『陰陽師0』打ち上げ】山崎賢人、染谷将太、奈緒らが西麻布の韓国料理店に集結 染谷の妻・菊地凛子も同席
女性セブン
昨年9月にはマスクを外した素顔を公開
【恩讐を越えて…】KEIKO、裏切りを重ねた元夫・小室哲哉にラジオで突然の“ラブコール” globe再始動に膨らむ期待
女性セブン