たとえば、テレビなら「セット・イン・ユース」(テレビの台数に対して実際にスイッチを入れて視聴している割合。視聴率調査で用いる)という考え方で、テレビのスイッチがオンになっていれば、その番組(および広告)を見ていると判断し、そこから算出する視聴率によって広告料金が決まる。しかし、実際にはテレビのスイッチがオンになっていても、CMを見ていない人は多い。
新聞も同様で、販売部数が約980万部の読売新聞や約760万部の朝日新聞に全面広告を出しても、購読者のうち何人が見てくれたかは全くわからない。だからテレビCMや新聞広告は、多くの場合、料金に見合うような効果が期待できなくなっているのだ(最近は効果に比例して掲載料が下がっている)。
それに対してネット広告は、クリックしたかどうか(=顧客が見たかどうか)、そのあと資料請求など次の行動につながったかどうかで料金が決まり、最終的な購買率まで明確にわかる。
したがって、ツイッターが利用者数の伸び悩みによって株価を下げても、それはツイッターの将来価値を正しく反映しているとは言えない。まだ株式市場はソーシャルメディアの特長や潜在力を理解していないのだ。
フェイスブックやツイッター、LINE、Viberなどが、いかにして広告を自分たちの中に埋め込んでいくか、いかにしてeコマースサイトなどにつなげていくか、という技術開発は始まったばかりであり、これからどんどん進むのである。
※週刊ポスト2014年3月14 日号