いざ返還を求められるとシロアリ官僚はそれまでチビチビ使っていたカネを猛スピードで消化していった。実際に使ったのではない。使ったように見せかけたのである。
カラクリはこうだ。復興庁は2013年5月末時点で「執行済み及び執行済みと認められるもの」については返還しなくてよいとした。大分に林道を造った基金を例に取ると、1399億円のうち12年度末に執行されていたのは364億円(執行率約26%)にすぎないが、「県議会で承認された2013年度予算は『執行済みと認められるもの』なので、それを合わせると943億円になる」(林野庁森林整備部計画課)というロジックで“執行率”を67%に急伸させたのである。本当の復興は遅々として進まないのに、こういう時だけ役人は行動が素早い。
この基金で全国に造られた林道2432kmのうち「被災地は263km」(同前)というから9割近くが被災地以外の林道だ。冒頭の大分県が221kmでトップ。
その大分の製材がどこに出荷されたかを県に問うと「聞き取り調査した複数の製材所では9万9280立方メートルのうち3580立方メートルを被災地に出荷した」(林務管理課)とする。被災地向けの出荷はわずか4%弱である。
※SAPIO2014年4月号