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暗黒時代の阪神 野田、オマリーなど放出した選手が活躍した

 今年の阪神タイガースはオープン戦で最下位争いを繰り広げ、暗黒時代の再来を懸念するファンも多い。暗黒時代の原因の一つでもあったと思われるのが、「阪神では若手が勘違いしやすい」ことだが、これについて語るのは、暗黒時代で唯一強かった1992年に新庄剛志とともに“亀新フィーバー”を巻き起こし、大活躍した亀山つとむ氏と同期入団、1987年のドラフト1位の野田浩司氏だ。

「阪神では新人がドラフト翌日から常に(新聞の)1面。遠征に行ってもホテルで食事なんかしたことがない。いつも先輩に声を掛けられて、知り合いの方と高級レストランで食事をさせてもらいました。勘違いするなといわれても無理ですよね、これがプロだと思っていた」

 野田氏は1992年オフ、オリックスに移籍。「移籍後にようやく自分が勘違いしていたことを思い知らされた」と語るが、この移籍劇こそが阪神ファンにとって新たな悲劇の始まりだった。

 この野田の移籍を、「史上最低のトレード」と語る虎党は多い。阪神フロントは、「打撃力不足」を原因として、野田とオリックスのベテラン・松永浩美をトレード。しかし、松永は故障でわずか80試合の出場に止まり、翌1993年オフにFAでダイエーに移籍、あっという間にいなくなった。一方、野田は移籍直後から17勝で最多勝を獲得。その後3年連続で2ケタ勝利を挙げ、オリックスV2の原動力となった。甲子園には「野田を返してくれ」という声がこだましたという。

 だがこれはリーグが違うからまだいい。間髪入れず、今度は自分の首を絞める移籍劇を起こしてしまう。1993年に首位打者を獲得したオマリーを、1994年オフにヤクルトに放出。すると1995年、オマリーは打率.302、31本塁打と打ちまくり、低迷する古巣を尻目にヤクルトの優勝に貢献、シーズンと日本シリーズのMVP2冠を達成したのだ。ファンの誰もが、「“阪神ファンがイチバン”やったヤツをなんで出すねん!」と突っ込みを入れたものである。

※週刊ポスト2014年3月28日号

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