「そもそもグローバル社員なんて、カッコイイものではありませんよ」と溝上氏が続ける。
「いまや日本企業の稼ぎ頭となっている海外展開は、中国や東南アジア、ブラジルなど。新興国といっても中には電話も通じていないような僻地に赴任させられることだってあります。レジが壊れても直す手段のない山奥のコンビニとか……。
そんな場所で、泥まみれになって働く覚悟はいまの新入社員にはないでしょう。企業側も責任を持って『永住する覚悟で海外に出て稼いでこい』と言えないのが問題です。もっとも、現地法人の採用案内に“日本語必須”なんて書いているような企業がいくらグローバル人材を募っても優秀な人は集まりません」(溝上氏)
今年の新入社員の特徴は、何事も安全運転の「自動ブレーキ型」(日本生産性本部の分析)らしい。
物怖じせずに海外に飛び出していくグローバル人材とはますます程遠い気がするが、時にブレーキを緩めて果敢にチャレンジする精神をどれだけ植えつけ、後押しできるか。日本企業に課せられた“人財育成”のハードルは高い。