ビジネス

グローバル人材「英語で喋ればいいわけじゃない」と専門家

 4月1日に多くの企業で行われた入社式。業界を問わず、新入社員に向けられた経営トップの訓示でいちばん聞かれたのは、「グローバル人材になれ」というゲキではなかろうか。例えば、こんな調子だ。

<グローバル人材として活躍するため、これからすべての時間を「成長する機会」と捉え、積極的に自らを磨き「仕事力」を高めよう>(三菱電機の柵山正樹社長)

<グローバルなダイハツマンに一日も早く成長されることを祈っている>(ダイハツ工業の三井正則社長)

<国際業務の拡大に対応するグローバル人材の育成を積極的に推進していく>(みずほフィナンシャルグループの佐藤康博社長)

<グローバル人材の不足をいかに克服するかが最大の課題>(ダイキン工業の井上礼之会長)

 しかし、一概にグローバル人材といっても、学生に求められる資質は企業によってまちまちなのが現状だろう。また、最近は英語はじめ語学力を重視する企業が多いため、「現地の言葉さえ喋れれば立派に海外で活躍できる」と勘違いしているフシもある。

 近著に『辞めたくても、辞められない!』(廣済堂新書)がある人事ジャーナリストの溝上憲文氏はいう。

「もちろん語学ができるにこしたことはありませんが、語学力は現地で仕事をしながらも学べますし、大事な商談なら通訳をつけて行うことだってできます。それよりも、海外の異文化を柔軟に受け入れる能力や、何よりも国境を超えて商談をまとめ上げる卓越したコミュニケーション能力と度胸がなければ使い物になりません。

 実例を挙げると、『無印良品』の海外店舗を急激に増やしている良品計画が、英語の得意な社員を中心に海外赴任を命じたところ、外国人の従業員を束ねられずにことごとく失敗したといいます。逆に、石油精製・販売大手のJXのように、海外駐在員でバリバリ活躍している社員の中にTOEICの点数が500点台でもタフネゴシエーターとして大きな仕事を取ってくる人もいます」

 必死に語学力を身につけても、海外の商談相手を納得させたり、外国人の部下を統率するマネジメント力がなければ通用しない。とどのつまり、「日本でろくに仕事ができない人は海外に行っても同じ」(流通業界関係者)というのがグローバル人材の共通した定義であるといえる。

関連キーワード

関連記事

トピックス

デコピンを抱えて試合を観戦する真美子さん(時事通信フォト)
《真美子さんが“晴れ舞台”に選んだハイブラワンピ》大谷翔平、MVP受賞を見届けた“TPOわきまえファッション”【デコピンコーデが話題】
NEWSポストセブン
【白鵬氏が九州場所に姿を見せるのか】元弟子の草野が「義ノ富士」に改名し、「鵬」よりも「富士」を選んだことに危機感を抱いた可能性 「協会幹部は朝青龍の前例もあるだけにピリピリムード」と関係者
【白鵬氏が九州場所に姿を見せるのか】元弟子の草野が「義ノ富士」に改名し、「鵬」よりも「富士」を選んだことに危機感を抱いた可能性 「協会幹部は朝青龍の前例もあるだけにピリピリムード」と関係者
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組・司忍組長2月引退》“竹内七代目”誕生の分岐点は「司組長の誕生日」か 抗争終結宣言後も飛び交う「情報戦」 
NEWSポストセブン
部下と“ホテル密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(時事通信フォト/目撃者提供)
《前橋・小川市長が出直し選挙での「出馬」を明言》「ベッドは使ってはいないですけど…」「これは許していただきたい」市長が市民対話会で釈明、市議らは辞職を勧告も 
NEWSポストセブン
活動を再開する河下楽
《独占告白》元関西ジュニア・河下楽、アルバイト掛け持ち生活のなか活動再開へ…退所きっかけとなった騒動については「本当に申し訳ないです」
NEWSポストセブン
ハワイ別荘の裁判が長期化している
《MVP受賞のウラで》大谷翔平、ハワイ別荘泥沼訴訟は長期化か…“真美子さんの誕生日直前に審問”が決定、大谷側は「カウンター訴訟」可能性を明記
NEWSポストセブン
11月1日、学習院大学の学園祭に足を運ばれた愛子さま(時事通信フォト)
《ひっきりなしにイケメンたちが》愛子さま、スマホとパンフを手にテンション爆アゲ…母校の学祭で“メンズアイドル”のパフォーマンスをご観覧
NEWSポストセブン
維新に新たな公金還流疑惑(左から吉村洋文・代表、藤田文武・共同代表/時事通信フォト)
【スクープ!新たな公金還流疑惑】藤田文武・共同代表ほか「維新の会」議員が党広報局長の“身内のデザイン会社”に約948万円を支出、うち約310万円が公金 党本部は「還流にはあたらない」
NEWSポストセブン
部下と“ラブホ密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(左・時事通信フォト)
《ほっそりスタイルに》“ラブホ通い詰め”報道の前橋・小川晶市長のSNSに“異変”…支援団体幹部は「俺はこれから逆襲すべきだと思ってる」
NEWSポストセブン
東京・国立駅
《積水10億円解体マンションがついに更地に》現場責任者が“涙ながらの謝罪行脚” 解体の裏側と住民たちの本音「いつできるんだろうね」と楽しみにしていたくらい
NEWSポストセブン
今季のナ・リーグ最優秀選手(MVP)に満票で選出され史上初の快挙を成し遂げた大谷翔平、妻の真美子さん(時事通信フォト)
《なぜ真美子さんにキスしないのか》大谷翔平、MVP受賞の瞬間に見せた動きに海外ファンが違和感を持つ理由【海外メディアが指摘】
NEWSポストセブン
柄本時生と前妻・入来茉里(左/公式YouTubeチャンネルより、右/Instagramより)
《さとうほなみと再婚》前妻・入来茉里は離婚後に卵子凍結を公表…柄本時生の活躍の裏で抱えていた“複雑な感情” 久々のグラビア挑戦の背景
NEWSポストセブン