国内

いわき市生産の米 99.96%が放射性物質検査で測定下限値未満

小名浜港にある食堂の塩辛

 いまだ収まらない被災地産食品への風評被害をどう考えればいいのか。食文化に詳しい編集・ライターの松浦達也氏が、被災地産食品の「今」をリポートする。

 * * *
 東日本大震災から3年が経過した。今年も3月にはメディアは震災報道一色に塗りつぶされた。4月に入ったいま、報道は平常運転に戻ったが、この先、数十年、数百年単位でつき合わなければならない課題が、日常に存在することに変わりはない。

 震災以降、現在でも福島県沖では試験操業以外の沿岸漁業や底引き網漁業は自粛が続いている。地魚がウリだった居酒屋の店主は「地魚以外を出す店になっちゃった」と言い、スーパーなどでも他県の魚がずらりと並んでいる。

 一方、農産物については福島県のほか、他県への出荷も回復基調にあるという。県内最大面積のいわき市では、震災から約半年後の2011年10月から「いわき農作物見える課プロジェクト」を始動させた。キャッチコピーは「見せます!いわき いわき野菜の事実全部見せます」である。パンフレットの表紙には「毎日食べるものだから、あなたに判断してほしい」とある。

「私たちが大丈夫、安全だと思っても、そのことは口にしません。私たちがやるべきは客観的な数字やデータを発信することだと考えています」(いわき市 見せます!いわき情報局 見せる課)

 安全かどうか判断するのはあくまで消費者であり、生産者とそれをバックアップする自治体としては検査体制の充実と、数値の公開に徹するというのだ。

 いわき市の農作物(出荷用)の放射性物質検査結果(2011年9月20日~2014年1月31日)は以下の通り(サンプル合計数14,870)。ちなみに現在、国が定める規制値は、一般食品で100ベクレル/kgだ。

ベクレル/kg    検査数   割合
20未満      14,455   97.2%
20~50以下    311    2.1%
50~100以下    69    0.5%
100超       35    0.2%

 米については、市内で生産されるすべての米の検査を行っている。まず30kgの米袋をベルトコンベアで流しながら測定する。その上で詳細検査を行う。2013年9月20日~2014年2月24日までに検査した合計55万4817サンプル中、99.96%が測定下限値未満。さらに詳細検査のうち検出されたのは1件だったという。ちなみに前年は総サンプル数52万1545件で、検出率は99.71%だった。

関連記事

トピックス

勝負強さは健在のDeNA筒香嘉智(時事通信フォト)
DeNA筒香嘉智、日本復帰で即大活躍のウラにチームメイトの“粋な計らい” 主砲・牧秀悟が音頭を取った「チャラい歓迎」
週刊ポスト
『虎に翼』の公式Xより
ドラマ通が選ぶ「最高の弁護士ドラマ」ランキング 圧倒的1位は『リーガル・ハイ』、キャラクターの濃さも話の密度も圧倒的
女性セブン
羽生結弦のライバルであるチェンが衝撃論文
《羽生結弦の永遠のライバル》ネイサン・チェンが衝撃の卒業論文 題材は羽生と同じくフィギュアスケートでも視点は正反対
女性セブン
“くわまん”こと桑野信義さん
《大腸がん闘病の桑野信義》「なんでケツの穴を他人に診せなきゃいけないんだ!」戻れぬ3年前の後悔「もっと生きたい」
NEWSポストセブン
中村佳敬容疑者が寵愛していた元社員の秋元宙美(左)、佐武敬子(中央)。同じく社員の鍵井チエ(右)
100億円集金の裏で超エリート保険マンを「神」と崇めた女性幹部2人は「タワマンあてがわれた愛人」警視庁が無登録営業で逮捕 有名企業会長も落ちた「胸を露出し体をすり寄せ……」“夜の営業”手法
NEWSポストセブン
中森明菜
中森明菜、6年半の沈黙を破るファンイベントは「1公演7万8430円」 会場として有力視されるジャズクラブは近藤真彦と因縁
女性セブン
昨年9月にはマスクを外した素顔を公開
【恩讐を越えて…】KEIKO、裏切りを重ねた元夫・小室哲哉にラジオで突然の“ラブコール” globe再始動に膨らむ期待
女性セブン
食品偽装が告発された周富輝氏
『料理の鉄人』で名を馳せた中華料理店で10年以上にわたる食品偽装が発覚「蟹の玉子」には鶏卵を使い「うづらの挽肉」は豚肉を代用……元従業員が告発した調理場の実態
NEWSポストセブン
報道陣の問いかけには無言を貫いた水原被告(時事通信フォト)
《2021年に悪事が集中》水原一平「大谷翔平が大幅昇給したタイミングで“闇堕ち”」の新疑惑 エンゼルス入団当初から狙っていた「相棒のドル箱口座」
NEWSポストセブン
17歳差婚を発表した高橋(左、共同通信)と飯豊(右、本人instagramより)
《17歳差婚の決め手》高橋一生「浪費癖ある母親」「複雑な家庭環境」乗り越え惹かれた飯豊まりえの「自分軸の生き方」
NEWSポストセブン
大谷翔平の妻・真美子さんの役目とは
《大谷翔平の巨額通帳管理》重大任務が託されるのは真美子夫人か 日本人メジャーリーガーでは“妻が管理”のケースが多数
女性セブン
店を出て染谷と話し込む山崎
【映画『陰陽師0』打ち上げ】山崎賢人、染谷将太、奈緒らが西麻布の韓国料理店に集結 染谷の妻・菊地凛子も同席
女性セブン