ビジネス

日本酒『獺祭』 パリに直営店出店予定など積極的な海外戦略

昨年5月、東京・京橋にオープンした『獺祭Bar 23』

 縮小傾向にある日本酒市場で、山口の片田舎で造られる純米大吟醸「獺祭」(だっさい)が破竹の勢いで売れ行きを伸ばしている。蔵元の旭酒造の年商は25年で10倍、この5年間は前年比130%を超える急成長を続ける。旭酒造の三代目、桜井博志氏(63)は語る。

「酔うため、売るための酒でなく、味わうための酒を造りたい。そんな思いでやってきましたが、それが日本酒が嫌いだったり、飲んだことのない若者や女性に愛される獺祭につながったと思います」(桜井氏。以下、「」内同)

 革命的な試みは酒造りだけではない。東京・京橋に直営店『獺祭Bar 23』を開いたのも酒蔵としては異例なら、欧米や台湾、ドバイなど海外22か国に販路を広げた海外戦略も例をみない。世界市場への輸出は売上の10%に上る。だが、桜井氏は将来の目標を50%と定め、着々と布石を打つ。

 2年前にはユダヤ教徒が口にできる清浄食品基準「コーシャー」を日本の地酒としては初めて獲得。審査が極めて厳しいことで知られるこの基準を得たことで、全世界に広がる巨大なユダヤ市場が射程に入った。

 3月には東京で開催された世界的なファッションショーのスポンサーにDHLやメイベリン・ ニューヨークといった世界企業とともに名を連ねたほか、今年中には業界でも例のない海外直営店をパリに出店する。さらにはアメリカ本土での酒造りも視野に入れる。

「副社長の息子に『お前に日本の蔵を任せ、俺がアメリカでやろうかな』といったら、『そんな面白いことはやらせない』といわれました(笑い)」

 変革に生き残りを賭け、次の世代と共にその視線は世界を見据える。

撮影■佐藤敏和

※週刊ポスト2014年4月18日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

西城秀樹さんの長男・木本慎之介がデビュー
《西城秀樹さん七回忌》長男・木本慎之介が歌手デビューに向けて本格始動 朝倉未来の芸能事務所に所属、公式YouTubeもスタート
女性セブン
兵役のため活動休止中のBTS。メンバー全員が除隊となる2025年にグループ活動再開を目指している(写真/アフロ)
【韓国大手事務所HYBEの内紛】「BTSの父」と「NewJeansの母」が対立 ARMY激怒で騒動は泥沼に、両グループの活動に影響も
女性セブン
有村架純と川口春奈
有村架純、目黒蓮主演の次期月9のヒロインに内定 『silent』で目黒の恋人役を好演した川口春奈と「同世代のライバル」対決か
女性セブン
林田理沙アナ。離婚していたことがわかった(NHK公式HPより)
離婚のNHK林田理沙アナ(34) バッサリショートの“断髪”で見せた「再出発」への決意
NEWSポストセブン
フジ生田竜聖アナ(HPより)、元妻・秋元優里元アナ
《再婚のフジ生田竜聖アナ》前妻・秋元優里元アナとの「現在の関係」 竹林報道の同局社員とニアミスの緊迫
NEWSポストセブン
小泉氏は石破氏に決起を促した
《恐れられる“純ちゃん”の政局勘》小泉純一郎氏、山崎拓氏ら自民重鎮OBの会合に石破茂氏が呼ばれた本当の理由
週刊ポスト
大谷翔平(左/時事通信フォト)が伊藤園の「お〜いお茶」とグローバル契約を締結したと発表(右/伊藤園の公式サイトより)
《大谷翔平がスポンサー契約》「お〜いお茶」の段ボールが水原一平容疑者の自宅前にあった理由「水原は“大谷ブランド”を日常的に利用していた」
NEWSポストセブン
撮影現場で木村拓哉が声を上げた
木村拓哉、ドラマ撮影現場での緊迫事態 行ったり来たりしてスマホで撮影する若者集団に「どうかやめてほしい」と厳しく注意
女性セブン
5月場所
波乱の5月場所初日、向正面に「溜席の着物美人」の姿が! 本人が語った溜席の観戦マナー「正座で背筋を伸ばして見てもらいたい」
NEWSポストセブン
氷川きよしの白系私服姿
【全文公開】氷川きよし、“独立金3億円”の再出発「60才になってズンドコは歌いたくない」事務所と考え方にズレ 直撃には「話さないように言われてるの」
女性セブン
被害者の平澤俊乃さん、和久井学容疑者
《新宿タワマン刺殺》「シャンパン連発」上野のキャバクラで働いた被害女性、殺害の1か月前にSNSで意味深発言「今まで男もお金も私を幸せにしなかった」
NEWSポストセブン
広末涼子と鳥羽シェフ
【幸せオーラ満開の姿】広末涼子、交際は順調 鳥羽周作シェフの誕生日に子供たちと庶民派中華でパーティー
女性セブン