対して、今回の約150万人に及ぶ人間ドック検診受診者の血液検査データを使って、健康基準を導き出した調査では、十分なサンプル数があるので、男性と女性、さらには年齢までも分けて調査をすることが可能だった。例えばコレステロール値では男女差に加え、女性は年齢別に基準値を設けている。

 だが、「病人」と診断される人が減ることは、必ずしも歓迎すべきではないという専門家の指摘もある。臨床循環器病学の権威である杏林大学医学部名誉教授の石川恭三氏がいう。

「人間ドック学会の調査は、これまでにない大規模なものであるうえ、これまでの日本の基準値に明確な科学的な根拠が不明なものもあったという点を浮き彫りにするなど、意義は小さくない。しかし、従来のように基準値が厳しく見積もられていることは、病気の一歩手前の“グレーゾーン”の人にも警告を与えられるので、病気予防の観点からは良いことと考えられます。

 生活習慣病は、自覚症状に気付いた時には病気が進行していて手遅れであることも多い。詳しい検査を受けるチャンスとしてグレーゾーンの領域は残しておくべきでしょう」

※週刊ポスト2014年5月2日号

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