ビジネス

緑茶で復権かけるキリン カフェインゼロの「生茶」を開発

キリンビバレッジ・マーケティング部商品担当主任の井尻綾夏さん

 ペットボトル入りの「緑茶」市場が拡大している。飲料総研の調べによると、2013年の出荷数は2億3000万ケース(1ケースは500ml入りなら24本)で、2年連続増加している。

「リーマン・ショックごろから起こった節約志向で、お茶は買わずに家で煎れようという動きになり、携帯用のマイボトルも流行りました。

 しばらく頭打ちだった市場が再び活性化したのは、京都・福寿園というお茶の名門ブランドとタッグを組んだ『伊右衛門(サントリー)』や、“にごりの旨み”のキャッチフレーズで本格派をアピールした『綾鷹(日本コカ・コーラ)』が消費者に受け入れられたからです」(飲料総研・宮下和浩取締役)

 さらに、昨年10月に伊右衛門がトクホ(特定保健用食品)の「特茶」をシリーズに加え、大方の予想に反して、1か月で約100万ケースが売れる大ヒットを続けていることも市場を押し上げた要因だ。トクホ商品はブレンド茶でも「食事と一緒に十六茶W」(アサヒ飲料)が追随するなど、健康志向に訴えるお茶が軒並み人気を集めている。

 そんな中、緑茶ブランドで4位に甘んじているキリンビバレッジの「生茶」も反転攻勢に出ている。

「2000年に発売した生茶は、いきなり首位を走る『お~いお茶』に次いで2位になりましたが、その後、伊右衛門や綾鷹に抜かれ、出荷数は大きく水をあけられています。飲料はひとつのカテゴリーで上位3ブランドまでしか生き残れない厳しい世界。まさに今が踏ん張り時といえるのです」(前出・宮下氏)

 そこでキリンが4月29日に発売するのが、ペットボトルの緑茶飲料としては世界初となるノンカフェインの「やさしさ生茶 カフェインゼロ」である。

 ここ数年、お茶だけでなくコーヒーでもカフェインを取り除いた“カフェインレス”の商品が注目を浴びてきたが、トクホとは違った健康提案で勝負に挑む。

 キリンビバレッジのマーケティング部で生茶商品を担当する井尻綾夏さん(27)がいう。

「お茶からカフェインを完全に除去する技術は簡単ではなく、4年以上も前から独自製法を開発してきました。私もそうなのですが、コーヒーなどを飲み過ぎると頭が痛くなったり、夜眠れなくなったりするので、カフェインゼロはそんな経験を持っている人たちからの市場期待も大きいと思います」

 商品パッケージにもキリンのこだわりがうかがえる。緑茶だけに緑色のパッケージ商品が多い中、目立つ白を基調にしたという。「緑茶の新しい価値をストレートに伝えたいという思いも込めました」(井尻さん)。

関連記事

トピックス

遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《女優・遠野なぎこのマンションで遺体発見》近隣住民は「強烈な消毒液の匂いが漂ってきた」「ポストが郵便物でパンパンで」…関係者は「本人と連絡が取れていない」
NEWSポストセブン
盟友である鈴木容疑者(左・時事通信)への想いを語ったマツコ
《オンカジ賭博で逮捕のフジ・鈴木容疑者》「善貴は本当の大バカ者よ」マツコ・デラックスが語った“盟友への想い”「借金返済できたと思ってた…」
NEWSポストセブン
フリー転身を発表した遠野なぎこ(本人instagramより)
「救急車と消防車、警官が来ていた…」遠野なぎこ、SNSが更新ストップでファンが心配「ポストが郵便物でパンパンに」自宅マンションで起きていた“異変”
NEWSポストセブン
モンゴルを訪問される予定の雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、「灼熱のモンゴル8日間」断行のご覚悟 主治医とともに18年ぶりの雪辱、現地では角界のヒーローたちがお出迎えか 
女性セブン
米田
《チューハイ2本を万引きで逮捕された球界“レジェンド”が独占告白》「スリルがあったね」「棚に返せなかった…」米田哲也氏が明かした当日の心境
週刊ポスト
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
「『逃げも隠れもしない』と話しています」地元・伊東市で動揺広がる“学歴詐称疑惑” 田久保真紀市長は支援者に“謝罪行脚”か《問い合わせ200件超で市役所パンク》
NEWSポストセブン
佐々木希と渡部建
《六本木ヒルズ・多目的トイレ5年後の現在》佐々木希が覚悟の不倫振り返り…“復活”目前の渡部建が世間を震撼させた“現場”の動線
NEWSポストセブン
東川千愛礼(ちあら・19)さんの知人らからあがる悲しみの声。安藤陸人容疑者(20)の動機はまだわからないままだ
「『20歳になったらまた会おうね』って約束したのに…」“活発で愛される女性”だった東川千愛礼さんの“変わらぬ人物像”と安藤陸人容疑者の「異変」《豊田市19歳女性殺害》
NEWSポストセブン
児童盗撮で逮捕された森山勇二容疑者(左)と小瀬村史也容疑者(右)
《児童盗撮で逮捕された教師グループ》虚飾の仮面に隠された素顔「両親は教師の真面目な一家」「主犯格は大地主の名家に婿養子」
女性セブン
組織が割れかねない“内紛”の火種(八角理事長)
《白鵬が去って「一強体制」と思いきや…》八角理事長にまさかの落選危機 定年延長案に相撲協会内で反発広がり、理事長選で“クーデター”も
週刊ポスト
たつき諒著『私が見た未来 完全版』と角氏
《7月5日大災害説に気象庁もデマ認定》太陽フレア最大化、ポピ族の隕石予言まで…オカルト研究家が強調する“その日”の冷静な過ごし方「ぜひ、予言が外れる選択肢を残してほしい」
NEWSポストセブン
大阪・関西万博で、あられもない姿をする女性インフルエンサーが現れた(Xより)
《万博会場で赤い下着で迷惑行為か》「セクシーポーズのカンガルー、発見っ」女性インフルエンサーの行為が世界中に発信 協会は「投稿を認識していない」
NEWSポストセブン