親の死によって、あるいは介護施設入所に伴ってなど、さまざまな事情から、「親の家の片付け」に直面する人が増えている。自分の家が片付かないことは長年の懸案だったけれど、親の家を片付ける大変さはその比ではなかった。精神科医の香山リカさん(53才)が遺品始末にアドバイスしてくれた。
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今は物が溢れかえっていて、いつかは自分も世を去るわけですから、実際に使えるものは実用と思い出を兼ねて使えばいいですが、原則的には「処分する」と決めたほうがいいでしょう。
「親が大切にしていたから」と、捨てることへの罪悪感ゆえに捨てないのは、心理的なストレスになります。
また、「いつか使うかも」と思って残していても、私たちの日常で、その「いつか」はなかなか来ないのが実情です。
特に手紙や手帳など親の気持ちを綴ったものが見つかった時は、後ろめたさもあって捨てられないという話をよく聞きます。しかし、それはいつか、何らかの形で誰かが処分しないといけません。それに、自分が逆の立場だったらどうですか。自分が死んだ時に、子供や孫がいつまでも自分の物にまみれて、思い出に浸って生きてほしいかといえば、そうじゃないと思います。自分の人生を歩んでほしい。それが親の願いだと思いませんか。
※女性セブン2014年5月22日号