国内

PC遠隔操作事件冤罪報道 弁護団の存在と世間の空気が後押し

 片山祐輔被告(32)の「自作自演メール」発覚に端を発し、「私がすべてやりました」の自白という思わぬ形で幕を閉じたPC遠隔操作事件。

 この事件を巡っては、数多の冤罪キャンペーン報道があった。たとえば週刊現代は、小誌が確認しただけでも14回以上もこの事件を取り上げた。主な記事のタイトルはこうだ。

〈ネコ男の逮捕 PCなりすまし事件  罪だったら刑事も記者も全員クビです〉(2013年3月9日号)

〈警察と検察こんなやり方はどこかで見たような これまで、こうやって『 罪』は作られたのではないのか〉(2013年3月23日号)

 冤罪キャンペーンを繰り広げた週刊現代を読み返すと、勾留中は弁護士を通じて、保釈後は本人から直接語られた片山語録が幾度となく掲載されている。

〈私は無実です。遠隔操作ウイルスを作ったり、使ったりしたことはありません〉(2013年4月6日号)

〈僕は無実なのに、なぜわかってもらえないのか……〉(2013年4月20日号)

 今となれば、なんとも鼻白む告白である。己の身だけでなく、家族への言及も見られる。

〈母親が一人で辛い思いをしているので早く帰って楽をさせてあげたい。母親と一緒に正月を迎えることが今の私の願いです〉(2013年12月28日号)

 驚くことに、片山被告はこんなコメントもしていた。

〈真犯人は名乗り出てほしい。せめてメールで私が犯人ではないことを証明してほしい〉(2013年12月28日号)

 その後の「自作自演メール」の“犯行予告”とさえ受け取れる内容である。結果として週刊現代には、片山被告の偽りの陳述が長期にわたって並ぶ結果となったわけだが、同誌のスタンスを端的に示したのが「片山さん」という呼び方である。

〈いつになったら自分は自由の身になれるのか。先の見えない恐怖に普通の人なら押しつぶされてもおかしくはない。(中略)それでも片山さんがこれまで耐えてこれたのは、(中略)「やっていないことは絶対に認めない」という固い信念があったからではないか〉(2013年4月6日号)

〈無実の訴えは家族にすら届かず、自分が具体的にどういった罪を犯したのかさえ説明されない。法治国家、民主主義国であるはずのこの現代日本で、出来の悪い不条理小説の主人公のような立場に、片山さんは置かれているのである〉(2013年6月22日号)

関連キーワード

関連記事

トピックス

モデル・Nikiと山本由伸投手(Instagram/共同通信社)
「港区女子がいつの間にか…」Nikiが親密だった“別のタレント” ドジャース・山本由伸の隣に立つ「テラハ美女」の華麗なる元カレ遍歴
NEWSポストセブン
米大リーグ、ワールドシリーズ2連覇を達成したドジャースの優勝パレードに参加した大谷翔平と真美子さん(共同通信社)
《真美子さんが“旧型スマホ2台持ち”で参加》大谷翔平が見せた妻との“パレード密着スマイル”、「家族とのささやかな幸せ」を支える“確固たる庶民感覚”
NEWSポストセブン
高校時代の安福容疑者と、かつて警察が公開した似顔絵
《事件後の安福久美子容疑者の素顔…隣人が証言》「ちょっと不思議な家族だった」「『娘さん綺麗ですね』と羨ましそうに…」犯行を隠し続けた“普通の生活”にあった不可解な点
デート動画が話題になったドジャース・山本由伸とモデルの丹波仁希(TikTokより)
《熱愛説のモデル・Nikiは「日本に全然帰ってこない…」》山本由伸が購入していた“31億円の広すぎる豪邸”、「私はニッキー!」インスタでは「海外での水着姿」を度々披露
NEWSポストセブン
優勝パレードには真美子さんも参加(時事通信フォト/共同通信社)
《頬を寄せ合い密着ツーショット》大谷翔平と真美子さんの“公開イチャイチャ”に「癒やされるわ~」ときめくファン、スキンシップで「意味がわからない」と驚かせた過去も
NEWSポストセブン
生きた状態の男性にガソリンをかけて火をつけ殺害したアンソニー・ボイド(写真/支援者提供)
《生きている男性に火をつけ殺害》“人道的な”窒素吸入マスクで死刑執行も「激しく喘ぐような呼吸が15分続き…」、アメリカでは「現代のリンチ」と批判の声【米アラバマ州】
NEWSポストセブン
安福久美子容疑者(69)の学生時代
《被害者夫と容疑者の同級生を取材》「色恋なんてする雰囲気じゃ…」“名古屋・26年前の主婦殺人事件”の既婚者子持ち・安福久美子容疑者の不可解な動機とは
NEWSポストセブン
ソウル五輪・シンクロナイズドスイミング(現アーティスティックスイミング=AS)銅メダリストの小谷実可子
《顔出し解禁の愛娘は人気ドラマ出演女優》59歳の小谷実可子が見せた白水着の筋肉美、「生涯現役」の元メダリストが描く親子の夢
NEWSポストセブン
ドラマ『金田一少年の事件簿』などで活躍した古尾谷雅人さん(享年45)
「なんでアイドルと共演しなきゃいけないんだ」『金田一少年の事件簿』で存在感の俳優・古尾谷雅人さん、役者の長男が明かした亡き父の素顔「酔うと荒れるように…」
NEWSポストセブン
マイキー・マディソン(26)(時事通信フォト)
「スタイリストはクビにならないの?」米女優マイキー・マディソン(26)の“ほぼ裸ドレス”が物議…背景に“ボディ・ポジティブ”な考え方
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる
《かつてのクマとはまったく違う…》「アーバン熊」は肉食に進化した“新世代の熊”、「狩りが苦手で主食は木の実や樹木」な熊を変えた「熊撃ち禁止令」とは
NEWSポストセブン
アルジェリア人のダビア・ベンキレッド被告(TikTokより)
「少女の顔を無理やり股に引き寄せて…」「遺体は旅行用トランクで運び出した」12歳少女を殺害したアルジェリア人女性(27)が終身刑、3年間の事件に涙の決着【仏・女性犯罪者で初の判決】
NEWSポストセブン