果たして、大手自動車メーカーの思惑通りにFCVの普及は進むのか。前出の井元氏に、ブレークスルーの分岐点を占ってもらった。
「年間2万台も売れれば将来的に主流になってくると思いますが、その台数を売るためにはやはり安心して航続できる水素ステーションの整備や、ガソリン価格よりも高いと思われる水素の燃料代も安くしなければエコカーとしての魅力は薄れてしまう。
なによりも、燃費やエコ性能ばかりに縛られすぎて、ユーザーに欲しいと思わせる車体デザインや走りの追求を怠ったら、宝の持ち腐れになってしまうでしょう」(井元氏)
FCVは1回の水素補給で500kmの航続が可能だとされているが、「安心して走れるのは300km程度」(業界関係者)との見方もある。
ただでさえ、ハイブリッド車(HV)や電気自動車(EV)など最新エコカーが入り乱れる時代。燃料電池車が選ばれるためには、ユーザーを惹きつける“理由”が必要だ。