──夕張市が直面する高齢化や人口減少、財政健全化などの問題は国や他の自治体が取り組まなければならない課題そのものだ。
鈴木:私もそう思います。夕張は返済すべき借金353億円のうち、既に50億円以上を返済しました。1秒に67円ずつ返済している計算になります。一方で2007年に発表された数字では国の借金は1秒間に19万円ずつ増えていて財政健全化は後回しです。
──事実上の破綻を経験しなければ、危機意識は生まれないのか。
鈴木:そういう側面はあると思います。夕張は財政再生団体になって職員が260人から100人に減り、年収は40%カットという状況が強制的に生まれ、住民にも危機意識を共有してもらえている事情はあります。
大事なのは、夕張が地域の再生と財政の健全化を同時に成し遂げることです。2012年度には市内の工業団地3区画が完売。道外企業の誘致成功は14年ぶりのことです。お金はかけられない中でも、少しずつですが地域再生を進めています。夕張が成功すれば、他の地域のモデルケースになれる。これまでは「夕張のようになるな」が地方自治体運営の合言葉でしたが、課題先進地域として成功事例になることが、国の将来にも寄与すると考えています。
※SAPIO2014年7月号