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「やけ食いでストレス解消できない、やけ寝せよ」と精神科医

ストレス解消法を語る精神科医の奥田弘美さん

 食べ物への考え方を変えるだけで常にスリムでいられ、リバウンドもしないという「脳ダイエット」を編み出した精神科医の奥田弘美さん(46才)。100人以上のスリムな人にインタビューし、医師・精神科医としての見地から辿り着いたその方法は、空腹になるまで食べない、腹八分目でやめる、バランスよく食べるなどごくシンプルだが、いつもダイエットを継続できない人や生活リズムが不規則な人、ストレスを感じたら?など、その対処法を尋ねた。

――どんなダイエットでも夜遅くの食事はNGですが、残業などで食事が夜遅い人は?

奥田:どうしても食事が夜遅くなってしまう人は、夜ご飯を分割で考えて、炭水化物だけは19時や20時に先に食べておきます。そして夜遅く家に帰ってから食べるのは、野菜とできるだけノンオイルのタンパク質、例えば冷や奴やお刺身、お肉なら鶏のささみや豚の赤身などにします。食べてすぐ寝ると脂肪化してしまうので、寝る前にどうしても食べる時は、腹五分目ぐらいにしてください。

――お酒を飲む人は?

奥田:私は炭水化物や油脂類を「黄グループ」、肉・魚・卵などタンパク質を「赤グループ」、野菜や海藻類を「緑グループ」と区別しています。この黄色グループは空腹以外で食べるのも、黄色の重ね食べも禁止です。お酒も黄色グループと思ってください。ですので、お酒を飲む時にごはんやパン、じゃがいも、コーンといった黄色グループのつまみを避けて野菜とタンパク質にしてください。居酒屋ですと焼き鳥や焼き魚や刺身などですね。フライやピザ、パスタなどの黄色グループの重ね食べも避けることです。

――精神科医の視点で、食べたい欲求に勝つメンタルコントロールの仕方とは?

奥田:「つきあい食べ」の他に現代人に非常に多いのが、「ストレス食べ」です。食べることで手っ取り早くストレス解消しようとしますが、それではストレスは発散できません。ストレス解消のひとつは、しっかり寝ること。睡眠不足だと脳が疲れたままでストレスが消えません。やけ食いではなく“やけ寝”する方が脳の疲れがとれストレス食べを防げます。それに睡眠不足になると食欲をわかすホルモンの濃度が上がり、逆に食欲を抑制するレプチンというホルモンの濃度が下がるというデータがあります。もし食事を楽しみたいなら、空腹を確認してから、量より質で。素敵なレストランやちょっとワンランク上の質のいいものを食べるといいですね。

――ダイエットにはストレスケアが重要ということですね。

奥田:食べること以外で楽しいことをどんどん自分に許可してあげることです。「抑制タイプ」の人はストレスをためやすく、何かしたいと思っても、今この仕事が片付かないとだめとか、他の家族が大変なのに私だけ楽しんでは…など自分の楽しみを抑圧してしまいます。「他者依存タイプ」は自分で動かず、他の人になんとかしてもらおうとしますが、他人は自分の思い通りに動かないのでまたストレスが溜まってしまう。一方、スリムな人は積極的に楽しいことや興味のあることをのぞきにいく“腰が軽い”人が多い。楽しいことや行動が増えると自然に消費エネルギーも上がりますし、嫌なことが気にならなくなる気分転換にもなりますね。

――いつもダイエットを挫折したり、継続できない人は?

奥田:ちゃんと空腹になったら食べることを癖づけると、お腹がすいていない状態で食べることが苦痛になってきます。食べる行為は楽しむためよりも、もともと人間の体が生きるために要求するものです。子供の頃は、欲求に正直にお腹がすかないと食べなかったですよね。もし小腹がすいて我慢できない時は、おやつ昆布や炭酸水など極力カロリーのないもので紛らわすといいですね。

――後で食べる時間を確保できないから食べておこうということがよくあります…。

奥田:そういう時は黄色抜きで緑と赤を食べましょう。人間にとってタンパク質と野菜は健康維持のために一定量が必要です。特にタンパク質には疲労回復物質があり、体のさまざまな部位を作る原材料なので、不足するとやつれたり体調が悪くなります。私の場合、後でお腹がすくから食べておこうという時は、サラダとゆで卵など、黄色抜きの“栄養食べ”をしておきます。

――調整が大事ということですね。

奥田:私は朝をしっかり食べて、昼は卵とサラダと豆乳ラテなど軽く。昼におつきあいでヘビーなランチを食べたら、夜はあっさり系のおかずだけのことも。子供はトンカツにして、自分はソテーにするなど食べ方を変えるだけで黄色グループはだいぶそぎ落とせます。子供に毎食残さず食べさせることにこだわりすぎてお腹がすいてないのに食べることを強いると、子供が本来持っている食欲の調整機能が鈍ってしまい、肥満になるので注意しましょう。

【奥田弘美(おくだ・ひろみ)】
精神科医(精神保健指定医)、日本医師会認定産業医。山口大学医学部卒。スリムな人を独自に100人以上取材しつつ、医師として安全なダイエット法を吟味。精神科医としての視点を活かし、「脳の使い方」に着目した“脳ダイエット”を実践。以後、2児を出産後も10年間、BMI19のスリム体型をキープし続けている。現在は都内20か所の企業にて産業医としてヘルスケアに関わりながら、メンタルケアコーチングやダイエットコーチングを銀座スキンクリニックにて実施。近著に『何をやっても痩せないのは脳の使い方をまちがえていたから』(扶桑社)。

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