6月、福岡・筑後市のリサイクルショップ経営者、中尾伸也被告(47)と妻の知佐被告(45)が2004年に従業員の日高崇さん(当時22)を殺害した容疑で逮捕された事件は、さらに別人の人骨が次々見つかっていることで連続変死事件の様相を呈している。
事件現場となったリサイクルショップ「エース」の元従業員、田宮実さん(仮名)の証言によると、「エース」ではかつての田宮さんのような多重債務者を“強制労働”させる実態があったという。
中尾夫妻は田宮さんら従業員の管理を徹底していた。従業員同士の会話を禁じるだけでなく、グループで互いを監視することを義務づけていた。誰かが逃げ出せば、残った人間には凄惨な暴力が待っていた。
「夜の閉店後が暴力の時間です。伸也や監視役のチンピラに殴られるか、伸也の命令で従業員同士で殴りあうこともあった。唯一仲良くなった山本(仮名)という従業員が私と外回りをしている時に、突然走って逃げた。私は中尾夫妻と見張りのチンピラたちに囲まれ1時間以上も殴る蹴るの暴行を受けました」(田宮さん)
逃げた山本さんは田宮さんよりも先に「エース」で働いていた。山本さんは2004年6月に死亡した日高さんとも同時期に働いていたといい、田宮さんにこんな話をしていたという。
「その当時、山本は店の前のプレハブで寝泊まりしていた。ある日の夜、いつもは大人しい日高さんの怒鳴り声が店舗裏から聞こえ、それから男たちの怒鳴り声と日高さんの悲鳴が聞こえたという。外を見ると、ぐったりした日高さんを中尾夫妻と元暴力団員Xらが抱えて車に乗せていた。それ以来、日高さんは店に現われていないという話でした。恐ろしかった。それを聞いて、私も逃げなければと思った」