夫婦の日常も様々だが、あらゆる夫婦のエピソードが、漫談家の綾小路きみまろにメールや手紙で続々と寄せられている。今回は寄せられたのは、広告代理店勤務のご主人(37歳)。奥様(41歳)は4歳年上です。
* * *
「きれいだわ」「若いわねぇ」といわれ、僕より年下に見られますし、おふくろにとっても自慢の嫁です。確かに見た目は綺麗でスタイルもいいんですけど、それはメイクをバッチリし、太った体を矯正下着で細く見せてるからなんです。
そんな女房の「ありのままで」宣言が出たのは、僕の親父の7回忌法要で田舎に帰ることになった時。「私、ノーメイク、ノー矯正下着で行くわ。だって大変なんだもん」。確かに女房は田舎に帰ると、おふくろよりも2時間前に起き、メイクを始めていました。「おふくろ、驚くだろうなぁ」。これまでとは別人のような女房を連れて田舎へ。
「お義母さん、これがありのままの私で~す!」。両手を広げ、抱きつこうとする女房に、顔を引きつらせ、後退りするおふくろ。これまでは買い物に行く時も必ず女房を連れて行き、「うちの嫁なの~」。商店街の人たちに自慢してたのに、今回は、ついて行こうとする女房を「シッシッ!」と、犬でも追い払うようにして出て行きました。
そして翌日の法要は、女房に「不用心だから家でお留守番しててちょうだい」。出席する親類に、ありのままの女房の姿を見せたくないようです。「私、法要のために来たのに!」。ふくれっ面の女房。正直、親類から「お前にはもったいないほど綺麗な嫁さんだ」といわれてたので、おふくろの言動に文句もいえず、ホッとしてしまった僕でした。
※週刊ポスト2014年7月25日・8月1日号