東京おもちゃ美術館では、夏休みの自由研究にも利用できる職人や造形作家などの指導によるワークショップが開催されるが、すでに予約が満員の日も出ている。予約なしで毎日参加できるものもあるが、その場合は先着順になる。準備万端の祖父母世代なら、すでに予約済みだろう。
孫と出かける祖父母世代に着目して高齢者を刺激する試みをしている自治体もある。富山市では動物園や博物館、体験施設など15の施設の入園料・観覧料が無料になる「孫とおでかけ支援事業」を実施している。
「高齢者の外出機会を増やしたいということで2012年7月から始め、対象施設を増やしながら現在まで継続している事業です。居住地や年齢を設定していませんので、入場窓口で祖父母と孫だという家族関係さえ示せれば誰でも利用できます。東京に住んでいる人でも、40歳の孫と90歳の祖母という組み合わせでも無料になります」(富山市役所生涯学習課担当者)
この支援事業導入は、森雅志・富山市長が『孫の力』(島泰三著)を読んで刺激され、祖父母にとって「孫と出掛ける機会を持つことが効果的」と思ったことがきっかけだった。2013年度の各施設利用者のうち、約70万人の総入場者数のうち7.8%、約5万4000人が「孫とおでかけ支援事業」が利用者で、反響もよいという。
「この事業は高齢者の健康増進にも貢献して、まわりまわって医療などにもにも還元されているのではないでしょうか。入場者数や地域への経済効果など、すぐに出てくる数字以上の効果があると考えています」(前出・富山市担当者)
いま孫旅を楽しみたい祖父母世代の孫たちは、小学校低学年までの低年齢が多い。あと数年経ち、孫たちが中学生くらいになれば身の回りの世話もある程度自分でできるようになり、親たちも遠出することに苦情を言わなくなるだろう。泊りがけの冒険ができる「孫旅」は、あと数年先の楽しみになりそうだ。