さて、松屋のプレミアム化は成功するのか。
「景気回復によって、例え100円近い値上げでも美味しい牛丼が食べたい――という潜在顧客を掘り起こすことはできるでしょう。誰が食べても納得のいく味なら、これまで牛丼チェーンに入ったことがないシニア層や女性を呼び込めるかもしれませんしね。
ただ、いまの肉食ブームは牛丼よりも厚切りステーキのほうが断然人気が高く、ファミレスに客を奪われているのが現状です。これからは牛丼チェーン同士のつぶし合いではなく、他業態も含めた“肉食争奪戦”に入っていくことは間違いありません」(中村氏)
松屋は今後、牛丼以外の定食メニューでも高価格商品を続々と出していく予定だという。しかし、下げ止まった牛丼チェーンの価格構成、安さが当たり前のブランドイメージを一気に覆すのは並大抵のことではないはずだ。