ライフ

フードアレルギー ほとんど知られていない「遅延型」が存在

「なんだか、しょっちゅう頭が痛くなる。薬をのんでも、イマイチすっきり治らない」──こんな経験がある人は少なくないはず。

 その頭痛の原因が、風邪でも、頭痛持ちという体質でもなく、あなたが食べた物によるフードアレルギーだとしたら…。実は、“もうひとつのアレルギー”が最近注目を浴びている。

 そもそも人間の体は、有害な細菌やウイルス、毒性の物質が入ってくると、防御システムが働き、それを体外に出そうと抗原抗体反応が起こる仕組みになっている。

 フードアレルギーと聞いてすぐ思い浮かぶのは、乳製品や卵、大豆やそば、ピーナッツや甲殻類に対するアレルギー反応だ。かゆみやむくみ、じんましんなどといった症状で表れ、ひどい場合には、呼吸困難で命にかかわる状態に陥ることもある。これらはすぐに症状として表れるので、正確には「即時型アレルギー」と呼ばれている。

 それに対し、もうひとつのフードアレルギーがある。食べて数時間、場合によっては数日後にようやく症状が表れてくる「遅延型アレルギー」だ。

 ナグモクリニック東京のアンチエイジング・機能性医学外来の医長・斎藤糧三さんが言う。

「抗体は全部で5種類あります。体内に入ってすぐ症状が表れるアレルギーの原因となるのは、血液や体液中にあるIgEと呼ばれる抗体です。しかし、実はこのIgE抗体は、全抗体のうちの0.001%以下にすぎません。それ以外の、IgAやIgG抗体という、ある程度時間をおいて反応を表す抗体のほうがはるかに多いのです。

 遅延型のアレルギーは、症状が比較的軽かったり、慢性的なことが多いため、また何より摂取から時間がたってから症状が表れるため、本人が気づかないことが多いのです」(斎藤さん。以下、「」内同)

 遅延型アレルギーの症状は多岐にわたる。前述の頭痛をはじめ、かゆみ、手湿疹、胸やけ、食あたり、リウマチや乾癬、慢性疲労などで、さらには、うつ症状の精神的な病気の要因になることもあるという。

 では、どんな食品が要因になることが多いのか。人それぞれながら、アジア人、とりわけ日本人の場合は、民族的に長きにわたって摂取する習慣がなかったことから、乳製品と卵にアレルギー反応を示す人が多いと斎藤さんは言う。

「例えば、乳酸菌がお腹にいいからと毎日ヨーグルトを食べて、お通じがあると喜んでいる人が、実際にはアレルギー反応で下痢を起こしていただけ、というケースが少なくありません」

 えっ、ヨーグルトは腸内細菌を整えてくれるものだと思っていたのに!

 もちろん、アレルギーのない人にとっては有効だが、体質でそうではない人もいるなんて…。それでは、この遅延型アレルギーをどのように発見すればいいのだろうか。

 即時型アレルギーは、病院の血液検査で調べることができ、しかもこれは健康保険が適用される。

 一方、遅延型アレルギーの検査は、日本ではまだ普及しておらず、実施は一部の病院でのみ。また、自由診療のため比較的高額になる。ただし、この検査では、肉や卵、乳製品、フルーツ、野菜、シーフード、スパイスといった96種類の多岐にわたる食品についてのアレルギー反応を一挙に調べることができ、どの程度の反応か、その強さを7段階で知ることもできる。

 医師の斎藤さんも6年前、35才の時にこの検査を受けたという。

「検査結果を見て、生まれて初めて、卵アレルギーだとわかりました。思い返せば、確かにラーメンに味卵を入れて食べたり、すき焼きや牛丼に卵をトッピングして食べると、決まってお腹がゆるくなっていたのですが、“ああ、便通がよくなっている”と思っていたら、“ただ下していただけだったんだ!”と気づいたのです」

 医師でさえこうなのだから、私たちが気づきにくいのはなおさらのことかもしれない。

※女性セブン2014年8月14号

関連キーワード

関連記事

トピックス

水原一平とAさん(球団公式カメラマンのジョン・スーフー氏のInstagramより)
「妻と会えない空白をギャンブルで埋めて…」激太りの水原一平が明かしていた“伴侶への想い” 誘惑の多い刑務所で自らを律する「妻との約束」
NEWSポストセブン
福井放送局時代から地元人気が高かった大谷舞風アナ(NHKの公式ホームページより)
《和久田麻由子アナが辿った“エースルート”を進む》NHK入局4年で東京に移動『おはよう日本』キャスターを務める大谷舞風アナにかかる期待
週刊ポスト
愛知県豊田市の19歳女性を殺害したとして逮捕された安藤陸人容疑者(20)
《豊田市19歳女性刺殺》「家族に紹介するほど自慢の彼女だったのに…」安藤陸人容疑者の祖母が30分間悲しみの激白「バイト先のスーパーで千愛礼さんと一緒だった」
NEWSポストセブン
緊急入院していた木村文乃(時事通信フォト)
《女優・木村文乃(37)が緊急入院していた》フジ初主演ドラマ撮影中にイベント急きょ欠席 所属事務所は「入院は事実です」
NEWSポストセブン
2023年7月から『スシロー』のCMに出演していた笑福亭鶴瓶
《スシローCMから消えた笑福亭鶴瓶》「広告契約は6月末で満了」中居正広氏の「BBQパーティー」余波で受けた“屈辱の広告写真削除”から5カ月、激怒の契約更新拒否
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(HP/Xより)
《学歴詐称疑惑の田久保眞紀・伊東市長》東洋大卒記者が卒業証明書を取ってみると…「ものの30分で受け取れた」「代理人でも申請可能」
NEWSポストセブン
オンカジ問題に揺れるフジ(時事通信)。右は鈴木善貴容疑者のSNSより
《フジテレビに蔓延するオンカジ問題》「死ぬ、というかもう死んでる」1億円以上をベットした敏腕プロデューサー逮捕で関係する局員らが戦々恐々 「SNS全削除」の社員も
NEWSポストセブン
キャンパスライフを楽しむ悠仁さま(時事通信フォト)
《新歓では「ほうれん草ゲーム」にノリノリ》悠仁さま“サークル掛け持ち”のキャンパスライフ サークル側は「悠仁さま抜きのLINEグループ」などで配慮
週刊ポスト
ノーヘルで自転車を立ち漕ぎする悠仁さま
《立ち漕ぎで疾走》キャンパスで悠仁さまが“ノーヘル自転車運転” 目撃者は「すぐ後ろからSPたちが自転車で追いかける姿が新鮮でした」
週刊ポスト
無期限の活動休止を発表した国分太一
「こんなロケ弁なんて食べられない」『男子ごはん』出演の国分太一、現場スタッフに伝えた“プロ意識”…若手はヒソヒソ声で「今日の太一さんの機嫌はどう?」
NEWSポストセブン
1993年、第19代クラリオンガールを務めた立河宜子さん
《芸能界を離れて24年ぶりのインタビュー》人気番組『ワンダフル』MCの元タレント立河宜子が明かした現在の仕事、離婚を経て「1日を楽しんで生きていこう」4度の手術を乗り越えた“人生の分岐点”
NEWSポストセブン
元KAT-TUNの亀梨和也との関係でも注目される田中みな実
《亀梨和也との交際の行方は…》田中みな実(38)が美脚パンツスタイルで“高級スーパー爆買い”の昼下がり 「紙袋3袋の食材」は誰と?
NEWSポストセブン