日本で発売間近の「WRX S4」も300馬力以上のパワーを誇りながらも、価格は手の届きやすい300万円台~と噂されているため、カーマニアたちの垂涎の的となることは必至だろう。だが、問題はスポーツ車の魅力が一般ユーザーにまで浸透するかだ。
「国内でスバルの人気が高まっているのは、1にも2にも自動ブレーキ装置の『アイサイト』が支持されているから。もちろんWRXにもアイサイトは標準装備されるので、安全性能を入り口に走りの楽しさや快感をいかに伝えられるかにかかっています。
なにもスバルは速さばかりを追い求めているわけではありません。開発陣が常に目指しているのは“バランスのいいクルマづくり”です。
パワーがあろうがなかろうが、そのクルマが一番バランスのいい状態で動かせるための工夫を詰め込む。仮に運転する楽しさを損なうようなら、燃費効率も最低限で抑える。こうした“スバル独特の世界観”がユーザーニーズと合致すればWRXも受け入れられるでしょうね」(井元氏)
富士重工は念願だった世界販売100万台超えが目前で、売上高・経常利益ともに3年連続で過去最高を見通すほど好業績に沸いている。5月に発表した中期経営ビジョン「際立とう2020」ではさらなるブランド力の向上を掲げている。
「スバルブランドの今後を占う意味でメルクマール的なモデルになる」(井元氏)といわれている新型WRX。果たしてどこまで際立つことができるか。