サーキット走行もこなせるスバル「WRX STI」
STIとS4からなる新型WRXは、小規模メーカーならではの特別感を出していくというスバルのチャレンジが新しいステージに入りつつあることを予感させるモデルとなっていた。
絶対性能はもちろん、ドライビングプレジャーの面でも、トヨタとの共同企画のもとで設計された後輪駆動スポーツ「BRZ」のはるかに上を行く仕立てを実現させており、付加価値を高めるうえで欠かすことのできない“テイスト”と呼ばれる感性領域のチューニングを、スバルの実験部隊の見識を総結集して行った痕跡がありありと見られた。
また、シート表皮に人工皮革アルカンターラを、シートのステッチに赤色の縫い糸を使用したりと、インテリアもこれまでのスバル車とは一味違う高付加価値志向に振られている。
開発陣は「WRXはコンパクトクラスですが、販売価格ではウチのトップモデル。そのお客様を喜ばせるには、走りの質だけでなく演出も大事と考えて、かつてないくらいに頑張りました」と語る。
スポーツ性を追求する向きにはSTIだが、S4も経済力があってドライブ好きな若年ユーザーが休日にスーツを脱いでドライブを楽しむにはもってこいのキャラクター。
他社との競合に勝つことで存在感を増すのではなく、自らの提示する価値観への賛同者を増やすという、日本メーカーでは成功例の少ないアプローチでブランドイメージを上げるというスバルのチャレンジがどう実るか、行く末が楽しみに思われるようなモデルであった。