相場の上昇局面ではまず流動性の高い大型株にマネーが流入します。その後、大型株に利益確定の売りが出たので、日経平均は足踏みしているわけです。一方で、私への問い合わせが増えているように、大型株を売った資金は割安圏内にある中小型株に向かっています。この数か月、その流れは顕著です。
たとえば、主に中小型株が上場している東証マザーズは、ここ3か月で指数が急上昇しています。5月20日に633.02ポイントで底を打つと、そこから急上昇。8月26日には993.48ポイントをつけ、わずか3か月で1.5倍の水準に達しました。
ほかにも、ジャスダックインデックスは89.76をつけた5月19日から5週にわたり連騰。東証2部株価指数も5月21日に3354.07で底を打ってから3か月で3割近く上昇しました。日経平均の鈍い値動きとは対照的である上昇の原動力は海外マネーだと考えられます。
なぜ外資ファンドが中小型株に熱視線を送るのか。彼らはアメリカの新興市場でベンチャー企業への投資を行ない、大きな成功を収めてきました。アップル、グーグル、フェイスブックが代表格です。
彼らは前出の「ガンホー」のように大化けする銘柄が登場し始めた日本でも、「第2のフェイスブック」が近く生まれるだろうと予測しているのです。
背景には、アベノミクス第3の矢である「成長戦略」への期待があります。農業、医療・介護、教育、金融、バイオ、不動産といった分野で規制緩和を行ない、政府が成長分野に資金を振り向ける見通しです。日本でも、アメリカと同様のイノベーションが起こる環境が整うとの期待から、外国人投資家は積極的に中小型株を買い増しているのです。
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※週刊ポスト2014年10月3日号