大人のうつ病も社会問題となっているが、さらに根深い問題となっているのが子供のうつだ。北海道大学の調査によると、うつ病と診断されたのは小学生で1.6%、中学生で4.6%にものぼるという。
猪子メンタルクリニック院長で児童精神医の猪子香代さんは、親が治療を焦るあまり、子供を追い詰めるケースもあると注意を促す。
「うつのお子さんを持つ親は、何とかしようと必死になることで、かえって口うるさくなることがあります。
ある小学生の患者さんが食べ物をこぼして服を汚した時、母親が“服を汚したら、人に嫌われるわよ”と注意をしたことがありました。でもその結果、“自分は人に嫌われるかもしれない”という不安まで植えつけてしまったんです。子供は親が思っている以上に自分の状態をわかっていて、うまくいかないことに焦りや不安、申し訳なさを感じています。親は、それに追い打ちをかけないことが大切。
【1】悲観的なことを言わない
【2】頑張れと言わない
【3】指示を出さない
この3つを守り、前向きに対応してください」(猪子さん)
猪子さんや現役のスクールカウンセラーで臨床心理士の生田倫子さんのアドバイスからは、親の大変さも浮き彫りになってくる。
「子供がうつ症状になると、子供と同じかそれ以上に母親が追い込まれてしまうことがあります。夫から責められ、自分でも何とかしなければと焦る。すると余計に、子供に口出すことが多くなり、事態が悪化してしまう…。母親まで抑うつ状態になって、家族で泥沼に陥るケースをこれまで何件も見てきました。
子供がうつになっても、母親は絶対に自分だけで抱え込まないこと。夫がダメなら友達に、それがダメならスクールカウンセラーなどに自分が抱えている悩みをぶつけてみるのも良いと思います」
最低でも週に1度は母親もカウンセリングを受けてほしいと生田さんは強く訴える。
「うつ病の治療は持久戦。食事や睡眠といった生活習慣を正し、母子ともにストレスをためないようにしましょう。とくに一緒に体を動かすのはおすすめ。薬物療法と運動療法では、効果が一緒という調査結果もあるほどです」
※女性セブン2014年10月2日号