中内さんはリクルートに顔を出すのが楽しみだったと言います。社員が平気で経営批判をする、「中内さん」とさん付けで慕ってくれるなど、風通しのよい自由な社風を気に入っていたとか。
その後、2000年代前半にリクルートはダイエーから株を買い戻します。一時は1兆4千億円あった有利子負債も00年代半ばに完済しました。
ダイエーの名前がなくなることがアナウンスされ、リクルートがそのタイミングで上場することには、何かこう単なる偶然とは思えないものを感じます。晩年は、ダイエーが経営難に陥り大変だった中内さんですが、リクルートに対しては、金は出しても口を出さない方針を貫き通したのでした。中内さんのことを思い出さずにはいられません。
そのリクルートの上場ですが、メディアでは今年最大規模の上場と話題になっていますが、単に景気の良い話だけで捉えてはいけないと感じています。人材関連においても、情報ビジネスにおいても、グローバル化、IT化への攻めの姿勢というよりは、焦りの姿勢すら感じます。その先に何があるのかはまだ不透明です。
中内さんのことを思い出しつつ、リクルート上場という奇妙な冒険を見守りたいと思います。