ライフ

スター・ウォーズと21エモンの類似点 ゴンスケ=C-3POか?

『ドラえもん』『パーマン』『オバケのQ太郎(新)』『エスパー魔美』など、故・藤本弘(藤子・F・不二雄)氏の作品のアニメ化を数多く手がけてきたのが、シンエイ動画だ。同社の元会長・楠部三吉郎氏は、『21エモン』と藤本氏の思い出について、著書『「ドラえもん」への感謝状』(小学館)の中で、こう振り返っている。

 * * *
『21エモン』というマンガは、1968年から1969年にかけて『週刊少年サンデー』(小学館)に連載されていた作品で、未来のトウキョウを舞台にしています。主人公は、閑古鳥の鳴くホテル「つづれ屋」の跡取り息子21エモン。このホテルに、さまざまな星から異星人が宿泊にやってくるというSFギャグマンガです。藤本先生の名作のひとつです。

 私はこの作品をどうしても映画にしたいと思いました。悔しかったのです。ドラえもんのテレビアニメが始まった翌年、スター・ウォーズシリーズの公開2作目『スター・ウォーズ 帝国の逆襲』(エピソード5)が上映されました。これを観てね、「これは21エモンじゃないか!」と思ったんです。前作の公開1作目『スター・ウォーズ』(エピソード4 新たなる希望)も見直し、確信しました。

『スター・ウォーズ』に登場する金色の人型ロボットC-3POとR2-D2のコンビ。あれなんてまさに、『21エモン』のゴンスケ(ボーイとして働く元イモ掘り用ロボット)とオナベ(おせっかいなメイドロボット)のコンビじゃないですか。

 そして、『スター・ウォーズ』でキーとなる場所は、モス・アイズリーの古びた酒場(チャルマンのカンティーナ)です。宇宙港を兼ねているこの場所には、さまざまな星の人間が集まってきます。主人公ルーク・スカイウォーカーと宇宙船パイロットのハン・ソロが最初に出会った場所としても有名です。これってそのまま、異星人たちが集うホテル「つづれ屋」そのものじゃないですか!

 血相を変えて、先生のところに行きました。

「先生、スター・ウォーズが21エモンを真似してます! こんなこと、私は許せません。先生、スター・ウォーズの本家本元は21エモンなんだってことを、映画で証明しましょうよ」

 先生、やっぱり表情を変えない。ニコニコ笑ってひと言。

「では、楠部くんに任せます」

 私は関係者の間を駆けずり回って、なんとか1981年の夏に封切ることができました。『21エモン』はその後、シンエイ動画によってテレビアニメにもなります(1991年5月~1992年3月/テレビ朝日系)。

 実際、真似したのかどうか、その辺はわかりません。私の思い込みかもしれない。本人に確認したわけじゃありませんから。でも私は、『スター・ウォーズ』よりも前に、日本にはこんな素晴らしいSF作品があるんだということを、皆に訴えたかったのです。藤子・F・不二雄先生はすごいんだぞ、と。ただ、いまになって思い出してみると、熱くなっていたのは、私ひとりなのですが……。

※楠部三吉郎・著/『「ドラえもん」への感謝状』より

関連記事

トピックス

劉勁松・中国外務省アジア局長(時事通信フォト)
「普段はそういったことはしない人」中国外交官の“両手ポケットイン”動画が拡散、日本側に「頭下げ」疑惑…中国側の“パフォーマンス”との見方も
NEWSポストセブン
俳優の水上恒司が年上女性と真剣交際していることがわかった
【本人が語った「大事な存在」】水上恒司(26)、初ロマンスは“マギー似”の年上女性 直撃に「別に隠すようなことではないと思うので」と堂々宣言
NEWSポストセブン
佳子さまの「多幸感メイク」驚きの声(2025年11月9日、写真/JMPA)
《最旬の「多幸感メイク」に驚きの声》佳子さま、“ふわふわ清楚ワンピース”の装いでメイクの印象を一変させていた 美容関係者は「この“すっぴん風”はまさに今季のトレンド」と称賛
NEWSポストセブン
ラオスに滞在中の天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月18日、撮影/横田紋子)
《ラオスの民族衣装も》愛子さま、動きやすいパンツスタイルでご視察 現地に寄り添うお気持ちあふれるコーデ
NEWSポストセブン
俳優の水上恒司が真剣交際していることがわかった
水上恒司(26)『中学聖日記』から7年…マギー似美女と“庶民派スーパーデート” 取材に「はい、お付き合いしてます」とコメント
NEWSポストセブン
韓国のガールズグループ「AFTERSCHOOL」の元メンバーで女優のNANA(Instagramより)
《ほっそりボディに浮き出た「腹筋」に再注目》韓国アイドル・NANA、自宅に侵入した強盗犯の男を“返り討ち”に…男が病院に搬送  
NEWSポストセブン
ラオスに到着された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月17日、撮影/横田紋子)
《初の外国公式訪問》愛子さま、母・雅子さまの“定番”デザインでラオスに到着 ペールブルーのセットアップに白の縁取りでメリハリのある上品な装い
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(AFLO/時事通信フォト)
「“穴持たず”を見つけたら、ためらわずに撃て」猟師の間で言われている「冬眠しない熊」との対峙方法《戦前の日本で発生した恐怖のヒグマ事件》
NEWSポストセブン
ドジャース入団時、真美子さんのために“結んだ特別な契約”
《スイートルームで愛娘と…》なぜ真美子さんは夫人会メンバーと一緒に観戦しないの? 大谷翔平がドジャース入団時に結んでいた“特別な契約”
NEWSポストセブン
山上徹也被告の公判に妹が出廷
「お兄ちゃんが守ってやる」山上徹也被告が“信頼する妹”に送っていたメールの内容…兄妹間で共有していた“家庭への怒り”【妹は今日出廷】
NEWSポストセブン
靖国神社の春と秋の例大祭、8月15日の終戦の日にはほぼ欠かさず参拝してきた高市早苗・首相(時事通信フォト)
高市早苗・首相「靖国神社電撃参拝プラン」が浮上、“Xデー”は安倍元首相が12年前の在任中に参拝した12月26日か 外交的にも政治日程上も制約が少なくなるタイミング
週刊ポスト
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
《季節感あふれるアレンジ術》雅子さまの“秋の装い”、トレンドと歴史が組み合わさったブラウンコーデがすごい理由「スカーフ1枚で見違えるスタイル」【専門家が解説】
NEWSポストセブン