国内

運動会で組体操の巨大化と高層化が進行中 建物3階に相当も

 小中学校で「運動会の華」と言えば組体操だ。中でも、人が何段にも積み重なっていく「人間ピラミッド」は演技のクライマックスに行なわれることが多い花形だ。しかし今、そのピラミッドが巨大化し、大変なことになっている。名古屋大学准教授の内田良氏がレポートする。

 * * *
「組体操」と聞いて、運動会の懐かしい記憶を思い起こす人も多いのではないか。
 
 確かに四つん這いになった子供の上に何層も積み重ねて四角錐状になる「ピラミッド」や、スクラムを組んだ子供の肩の上に次の階層が重なり円塔を作る「タワー」は運動会の花形であり、難易度の高い組体操に健気に取り組む子供たちの姿は感動的である。
 
 しかし現在、一部の小中学校で行なわれる組体操は、古きよき時代のそれとは「別物」と考えるべきだ。この10年で関西地方を中心に組体操の巨大化と高層化が進み、今や小学校で9段、中学校で10段の「お化けピラミッド」が登場した。その高さは7m、建物2~3階にも相当する。
 
 多くのデータがその危険性を証明する。学校内の負傷件数を記す『学校の管理下の災害』(日本スポーツ振興センター)を独自に集計すると、小学校の体育活動中における組体操の事故数(2012年度)は6533件に達し、跳箱運動、バスケットボールに次ぐワースト3位。跳箱運動は1~6年生、バスケットボールは3~6年生、組体操は5~6年生で実施するため、実施児童数に比べて組体操の事故件数の多さが際立つ。
 
 しかも組体操は重大な事故が発生しやすい。先のデータから負傷部位別を集計すると、「手・手指部」など「上肢部」の負傷割合が多い跳箱運動(67.2%) やバスケットボール(72.8%)に比べ、組体操は上肢部の負傷割合が少なく(27.7%)、「頭部」(8.2%)や「頚部」「腰部」など体の根幹を成す「体幹部」(22.4%)の負傷が多い。後遺症の残る事故である「障害事故」も2012年度までの10年間で20件発生している。
 
 実際、今年5月には熊本県の中学校で男子生徒が10段ピラミッドの練習中にバランスを崩して倒壊、最下段の生徒が腰椎骨折の大怪我を負った。
 
 高さ7mのピラミッドが土台の子供に与える負荷はすさまじい。各自が「腕に3、足に7」の力をかけるとして組体操の基本形から個々の生徒にかかる重量を試算すると、10段ピラミッド(計151人)では背面から2列目の中央部の生徒に3.9人分の負荷がかかり、これを中学3年生男子の平均体重(54.0kg)で計算すると211kgの重量となる。これは基本形の試算であり、ピラミッドが歪むと最大負荷はさらに大きくなる。

※SAPIO2014年12月号

関連記事

トピックス

安達祐実と元夫でカメラマンの桑島智輝氏
《ばっちりメイクで元夫のカメラマンと…》安達祐実が新恋人とのデート前日に訪れた「2人きりのランチ」“ビジュ爆デニムコーデ”の親密距離感
NEWSポストセブン
新恋人A氏と交際していることがわかった安達祐実
《安達祐実の新恋人》「半同棲カレ」はNHKの敏腕プロデューサー「ノリに乗ってる茶髪クリエイターの一人」関係者が明かした“出会いのきっかけ”
NEWSポストセブン
イベントの“ドタキャン”が続いている米倉涼子
「押収されたブツを指さして撮影に応じ…」「ゲッソリと痩せて取り調べに通う日々」米倉涼子に“マトリがガサ入れ”報道、ドタキャン連発「空白の2か月」の真相
NEWSポストセブン
元従業員が、ガールズバーの”独特ルール”を明かした(左・飲食店紹介サイトより)
《大きい瞳で上目遣い…ガルバ写真入手》「『ブスでなにもできないくせに』と…」“美人ガルバ店員”田野和彩容疑者(21)の“陰湿イジメ”と”オラオラ営業
NEWSポストセブン
新恋人A氏と交際していることがわかった安達祐実
《“奇跡の40代”安達祐実に半同棲の新パートナー》離婚から2年、長男と暮らす自宅から愛車でカレを勤務先に送迎…「手をフリフリ」の熱愛生活
NEWSポストセブン
明治、大正、昭和とこの国が大きく様変わりする時代を生きた香淳皇后(写真/共同通信社)
『香淳皇后実録』に見当たらない“皇太子時代の上皇と美智子さまの結婚に反対”に関する記述 「あえて削除したと見えても仕方がない」の指摘、美智子さまに宮内庁が配慮か
週刊ポスト
「ガールズメッセ2025」の式典に出席された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年10月19日、撮影/JMPA)
《“クッキリ”ドレスの次は…》佳子さま、ボディラインを強調しないワンピも切り替えでスタイルアップ&フェミニンな印象に
NEWSポストセブン
結婚へと大きく前進していることが明らかになった堂本光一
《堂本光一と結婚秒読み》女優・佐藤めぐみが芸能界「完全引退」は二宮和也のケースと酷似…ファンが察知していた“予兆”
NEWSポストセブン
売春防止法違反(管理売春)の疑いで逮捕された池袋のガールズバーに勤める田野和彩容疑者(21)
《GPS持たせ3か月で400人と売春強要》「店ナンバーワンのモテ店員だった」美人マネージャー・田野和彩容疑者と鬼畜店長・鈴木麻央耶容疑者の正体
NEWSポストセブン
日本サッカー協会の影山雅永元技術委員長が飛行機でわいせつな画像を見ていたとして現地で拘束された(共同通信)
「脚を広げた女性の画像など1621枚」機内で児童ポルノ閲覧で有罪判決…日本サッカー協会・影山雅永元技術委員長に現地で「日本人はやっぱロリコンか」の声
NEWSポストセブン
三笠宮家を継ぐことが決まった彬子さま(写真/共同通信社)
三笠宮家の新当主、彬子さまがエッセイで匂わせた母・信子さまとの“距離感” 公の場では顔も合わさず、言葉を交わす場面も目撃されていない母娘関係
週刊ポスト
Aさんの左手に彫られたタトゥー。
《10歳女児の身体中に刺青が…》「14歳の女子中学生に彫られた」ある児童養護施設で起きた“子供同士のトラブル” 職員は気づかず2ヶ月放置か
NEWSポストセブン