走ってきた犬が、尻尾を振りながら人にとびつき、飛びつかれた人は犬を抱き留めなでてやる。映画やドラマでよく見かける場面だが、実際には大型犬が誰にでも飛びつくようでは問題も生じやすい。犬のしつけ教室・Can! Do! Pet Dog Schoolで科学的な理論に基づく犬のしつけを指導する西川文二氏が、高確率で飛びつく犬を座らせる方法を解説する。
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犬が人に飛びつく。果たしてコレは止めさせるべきか? 以前、改善すべき行動か否か、の判断基準ってのを、紹介したことがある。(1)犬にとって問題か、(2)飼い主にとって問題か、(3)世の中にとって問題か、このいずれかに抵触すれば、それは改善した方がよろしい、ってね。
(1)は、例えば膝や股関節、腰に問題がある犬の場合。二足立ちする飛びつきは、症状を悪化させる。
(2)は飼い主が問題としないなら、それはそれでいいかも。でも(3)には引っかかる。大型犬の場合は、他人を押し倒すこともある。
小型犬の場合は、押し倒すことはないけれど、外であれば問題となる。なんでかっつ~と、犬は土足。人間の子供であれば、砂遊びをしたあと手を洗わずに、他人のお召し物に触れるようなモノ。コレ人間の子供なら、問題となりますわな。犬も同様と考える。
すなわち少なくとも、他人様への外での飛びつきってのは、犬のサイズに関係なく改善すべき行動、ってことになる。
そもそも飛びつくのは何故か? コレ、みんなが可愛いってかまってくれてたからなんですな。すなわち、結果的にいいことが起きてるから、犬は飛びついてる。
であれば、改善策は簡単。いいことを出さないこと。頼める相手には、飛びついたら無視してもらう。いいことが起きない行動は取らなくなる。で、飛びつかなくなったら、かまってもらう。
叱ることも、「オスワリ」なんて指示することも必要なし。犬に、飛びつくことと座ること、どっちが得か考えさせるだけ。
この対応、教室はもちろんいろんなとこで、私めやっております。経験では95%以上の確率で、5分以内に犬は座りっぱなしとなる。以上、今回は飛びつきに対する、飛びっきりの対応法をお届けいたしましたぁ。
※週刊ポスト2014年12月5日号