手足が冷えて眠れない。湯船に浸って体を温めても、寝る時には不思議と手足が冷えてしまう――そんな症状の原因は枕にある可能性が高い。山田朱織枕研究所代表の山田朱織さんが次のように説明する。
「自分に合わない枕を選ぶと、寝る時の姿勢が悪くなったり、自由に寝返りを打てなかったりする。それが体内の血液やリンパ液の循環不良を起こすため、手足が冷えやすくなるのです」(山田さん)
毎日利用するものだからこそ、自分にぴったりの枕を選びたい。前出・山田さんと、快眠セラピスト・睡眠環境プランナーの三橋美穂さんに正しい枕選びのコツを教えてもらった。
山田さんによれば、正しい枕選びでいちばん重要なのは「きちんと寝返りが打てること」だという。
「人間は1晩で20~30回寝返りを打ちます。冷え症だけでなく、夜中に何度も目が覚めてしまったり、朝起きて疲労感がとれていなかったりする場合は寝返りがうまく打てていない可能性が高い。自分に合った枕を使うことで、症状の改善が図れます」(山田さん)
そのためにまず気をつけたいのは、枕の高さだ。
「仰向けに寝たとき、首の角度が床に対して約15度前後になる高さが理想。横向きになったときは、体の中心軸が床と平行になります。両手を胸のところでクロスさせ、左右に体を動かし、スムーズに寝返りが打てればOK。
枕のちょうどいい高さは人によって約5mm単位で違ってくる。枕はネットやカタログだけ見て買わず、寝具店へ行って楽に寝返りが打てるかどうかを必ず確認してください」(山田さん)
寝返りをスムーズに打つためには大きさにも気をつけたい。前出・三橋さんは次のように説明する。
「寝返りをうまく打つには、肩幅に対して左右プラス10cmずつは必要。日本人女性の平均的な肩幅は約40cmなので、最低でも横幅が60cm以上ある枕を選んでください」(三橋さん)
形については、あまり凹凸がありすぎるものは後頭部が平坦な日本人には不向きという。
「首のあたりが高く盛り上がり、後頭部が下がってしまうタイプは首を圧迫し、いびきや肩こりの原因になります。凹凸が少ないものを選ぶようにしましょう」(三橋さん)
枕の硬さは人によって好みがわかれるが、柔らかすぎる枕は首に負担をかけてしまうと山田さんが言う。
「朝、起きたときに枕がドーナツ形にへこんでいたら、枕に頭が沈み込んで、首が不自然に反り繰り返っている証拠。硬めで平坦な枕、そしてなにより体格に合った高さの枕のほうが体の負担は軽減されます」(山田さん)
素材の選びかたは人それぞれだ。
「メリット、デメリットに注意して、自分の生活環境やアレルギーの有無などを考慮しましょう。あとは肌触りや実際に寝てみたときの感触などを試してみて、好みで選べば大丈夫です」(三橋さん)
※女性セブン2014年12月18日号