大手メーカーでは必ず作成しているクレーム対応マニュアル。異物混入は「健康被害を及ぼすリスクの程度によって対応手順が分けられている」(企業のリスクコンサルタント)場合が多いという。
髪の毛や小虫、包装ビニールなどの異物は、<万が一食べても健康危害につながる恐れはない>として、リスク設定は低くなっているというが、「初期対応を間違えると大きな代償を払うことになる」と警告するのは、危機管理専門家でリスク・ヘッジ代表の田中辰巳氏だ。
「いくら髪の毛1本であっても、消費者に心理的なキズを与えることに変わりありません。指摘を受けたらすぐに謝罪に行き、徹底した原因究明の約束をして真摯に許しを得ることが鉄則です。
それを『今まで一度も異物が混入したことがなく、弊社の品質管理の体制からして起こり得ないこと』などと突き放せば、消費者は『私を疑っているのか!』と不愉快になるだけ。対応の悪さが大きな苦情につながり、商品や企業イメージに大きなダメージを与えかねません」(田中氏)
果たして、まるか食品の初期対応は十分だったのか――。いずれにせよ、師走の繁忙期に全商品の出荷停止という大きな代償を払う結果となった。
「食品はスーパーやコンビニなど売り場の『棚』が命。一度、回収騒ぎで競合メーカーの商品に棚を奪われると、復活しても置く場所を確保するのは容易ではない」(前出・田中氏)
生産再開は来春になるとの見込みも出る中、ペヤングはかつての人気を取り戻すことができるか。