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江沢民氏の不自然動静報道 周永康氏事件と無関係示すためか

 中国の江沢民・元国家主席が10月3日に北京市内の国家博物館を視察していたが、その2か月後の12月3日、中国メディアは一斉に江氏の視察を報じた。引退幹部の動静は基本的に伝えないというのが、中国メディアの不文律となっており、しかも2か月も経っての江氏の動静報道は極めて不自然だ。

 この2日後の12月5日の党政治局会議で、江氏の腹心で、元党最高指導部の一員だった周永康・元政治局常務委員が「重大な党規律違反」で党籍を剥奪されており、江氏の突然の動静報道は、江氏が周氏の事件と無関係であり、政治的にも健在であることを誇示する狙いがあったとみられる。

 江氏は博物館内の展示場を3か所まわり、芸術作品を鑑賞するとともに、「世界で一流の国家博物館を建設しよう」と揮毫(きごう)した。

 また、江氏と一緒に李嵐清・元副首相(元党政治局常務委員)や要人の警護を担当する中央警衛局の由喜貴・元局長とともに、現役閣僚として劉延東・副首相や郭聲コン(王+昆)・公安相と傅政華・公安省次官、蔡武・文化相が随行した。

 中国メディアは江氏が揮毫している姿や、江氏や李嵐清氏ら随行団と同博物館の職員の記念写真を掲載。江氏は顔色も良く、かくしゃくとしており、極めて健康そのものとみえる。

 極めて不自然なのは江氏の視察模様を公開した時期で、すでに博物館のホームページには11月17日に江氏らの視察についてのニュースを掲載していたにもかかわらず、報道が12月3日にずれ込んだ点だ。

 米国に拠点を置く中国情報専門の華字ニュースサイト「多維新聞網」は、江氏が事前に党政治局が5日に周永康氏の党籍剥奪を決めることを知っており、党上層部を通じて、その2日前の3日にメディアが江氏の視察を報道するよう指示したと伝えている。

 この狙いについて、多維新聞網はこう指摘している。

「周氏は江氏が最高指導者のとき、重用し、四川省党委書記や公安相、政法委副書記として抜擢し、胡錦濤政権当時でも、江氏は周氏を政治局常務委員として押し込んだ経緯がある腹心中の腹心だ。周氏の汚職に江氏が絡んでいることも考えられる。周氏が党籍剥奪処分を受けたことで、江氏には政治的に何ら影響がないことを示そうしたのだ。周氏一人にすべての責任を押しつけて、江氏は自身の責任を回避するとの思惑が働いている」

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