ハンドルを回せばスカートがめくれる仕組みになっているなら、迷わず全力で回す。スカートがめくれたら、大げさにはしゃぐ。こうしたお約束感たっぷりの展示を楽しむうちに、日々の生活でも「エロいとされているもの」を目の前に出されたら、何はともあれ素直にありがたがる気持ちが大切なんだと気づくことができます。きっと、スナックに行ったときはベテランのお姉さんの強引な谷間がありがたく思えるだろうし、すっかりごぶさたの妻に対しても少しは意欲がわいてくるに違いありません。
ほかにも、「のぞくべからず」と書いてある穴から入浴中の女性を覗く「温泉芸者」、ソファーに座ると鏡の中であやしい行為が行なわれる「幻想ミラー」、巨大な男根を抱えて片乳を出している人形にコインを投げる「おサスリ弁天」、一寸法師が寝乱れているお姫様の股間に攻め込む「珍説一寸法師」……などなど。どの展示も明るいエロと脱力感に満ちあふれています。時に笑いながら、時にドキドキしながら、3フロアにわたって30以上ある展示を見終わったあとは、エロに対する大らかな気持ちが入館前の何倍もふくらんでいる自分に気づくことができるでしょう。
帰りのロープウェイの中で(熱海秘宝館はロープウェイで3分ほど登った山頂にあります)、同行の女性と熱海の絶景を眺めながら明るいワイ談を弾ませるもよし、いままでは飲み会の席で「これを言ったらセクハラになるかな……」なんてウジウジと躊躇していた自分にサヨナラを告げるもよし。エロは積極的に楽しんでナンボ! どんな対象でも果敢に楽しもうと思えば楽しめる! 大人としてひと皮むけて、スケベであることへの迷いが吹っ切れた清々しい境地になれるはず。そう、中年としての新たな人生の幕開けです。
ま、日常生活であんまり大らかになり過ぎたり、吹っ切れたりし過ぎると困ったことになりそうですが、そこは大人の分別で加減してください。