国内

食品異物混入での身体被害 10年で530件、歯が欠けたが4割

 マクドナルドやペヤングなど身近な有名企業で異物混入報道が相次いでいる。

 企業の食品事故告知をまとめる財団法人・食品産業センター「食品事故情報告知ネット」によると、企業や自治体が公表した事例だけでも昨年1年間で81件の異物混入が報告されているが、ここ数年、件数自体に大きな違いはないという。「歯」や「ゴキブリ」といったセンセーショナルな異物であったが故の“ブームに乗った報道合戦”の側面もある。

 一方、「消費者からの訴え」となるとその数は激増する。全国から国民生活センターに寄せられた食品への異物混入の相談件数は過去5年間、年間1500~2000件で推移している。企業による公表数とは2ケタ異なる。

 同センターが1990~2000年に行なった調査では、混入した異物は虫が24.5%でトップ。ゴキブリは別項目で3.1%だった。

 ボルト・ナットや缶のクズなど「金属類」(7.3%)や「針・針金・つり針・釘」(6.5%)など危険な異物も上位を占めた。虫や髪の毛などとは異なり、人体に直接の被害を与えかねない。同センターはこんな事例を紹介している。

〈コンビニで購入した梅入りおにぎりを食べたところ、すごい痛みで慌てて口から出すと、黒いネジと歯が欠けて出てきた〉

〈贈答品ののりを子供が食べたところ、黒い針金のようなものが入っていた〉

 異物混入が原因で身体被害が起きた報告は調査した10年間で530件に達し、異物混入全体のおよそ14%を占める。内容は「歯が欠けた」が4割で、「消化器障害」や「中毒」が続いた。

 もちろん多くの企業は製造ラインの清潔性を保ち、異物混入がないよう検品にも最善を尽くしている。しかし、努力しても異物混入の「根絶」は困難だ。

 アクリフーズの農薬混入事件(※注)で第三者検証委員会の委員長を務めた奈良県立医科大学の今村知明教授(公衆衛生学)がいう。

「異物混入を完璧に防ぐことはできません。虫はもともと野菜に付着していることが多く、工場の扉が開けばハエが入ってくる。国民生活センターへの苦情は消費者が許せないと思った事例であり、黙認したケースはさらに多いでしょう」

【※注】2014年1月、群馬県大泉町のアクリフーズが製造した冷凍食品から農薬が検出された。工場の従業員による犯行と判明。

※週刊ポスト2015年1月30日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

フリー転身を発表した遠野なぎこ(本人instagramより)
「救急車と消防車、警官が来ていた…」遠野なぎこ、SNSが更新ストップでファンが心配「ポストが郵便物でパンパンに」自宅マンションで起きていた“異変”
NEWSポストセブン
盟友である鈴木容疑者(左・時事通信)への想いを語ったマツコ
《オンカジ賭博で逮捕のフジ・鈴木容疑者》「善貴は本当の大バカ者よ」マツコ・デラックスが語った“盟友への想い”「借金返済できたと思ってた…」
NEWSポストセブン
モンゴルを訪問される予定の雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、「灼熱のモンゴル8日間」断行のご覚悟 主治医とともに18年ぶりの雪辱、現地では角界のヒーローたちがお出迎えか 
女性セブン
米田
《チューハイ2本を万引きで逮捕された球界“レジェンド”が独占告白》「スリルがあったね」「棚に返せなかった…」米田哲也氏が明かした当日の心境
週刊ポスト
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
「『逃げも隠れもしない』と話しています」地元・伊東市で動揺広がる“学歴詐称疑惑” 田久保真紀市長は支援者に“謝罪行脚”か《問い合わせ200件超で市役所パンク》
NEWSポストセブン
佐々木希と渡部建
《六本木ヒルズ・多目的トイレ5年後の現在》佐々木希が覚悟の不倫振り返り…“復活”目前の渡部建が世間を震撼させた“現場”の動線
NEWSポストセブン
東川千愛礼(ちあら・19)さんの知人らからあがる悲しみの声。安藤陸人容疑者(20)の動機はまだわからないままだ
「『20歳になったらまた会おうね』って約束したのに…」“活発で愛される女性”だった東川千愛礼さんの“変わらぬ人物像”と安藤陸人容疑者の「異変」《豊田市19歳女性殺害》
NEWSポストセブン
児童盗撮で逮捕された森山勇二容疑者(左)と小瀬村史也容疑者(右)
《児童盗撮で逮捕された教師グループ》虚飾の仮面に隠された素顔「両親は教師の真面目な一家」「主犯格は大地主の名家に婿養子」
女性セブン
組織が割れかねない“内紛”の火種(八角理事長)
《白鵬が去って「一強体制」と思いきや…》八角理事長にまさかの落選危機 定年延長案に相撲協会内で反発広がり、理事長選で“クーデター”も
週刊ポスト
たつき諒著『私が見た未来 完全版』と角氏
《7月5日大災害説に気象庁もデマ認定》太陽フレア最大化、ポピ族の隕石予言まで…オカルト研究家が強調する“その日”の冷静な過ごし方「ぜひ、予言が外れる選択肢を残してほしい」
NEWSポストセブン
大阪・関西万博で、あられもない姿をする女性インフルエンサーが現れた(Xより)
《万博会場で赤い下着で迷惑行為か》「セクシーポーズのカンガルー、発見っ」女性インフルエンサーの行為が世界中に発信 協会は「投稿を認識していない」
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(HP/Xより)
《東洋大学に“そんなことある?”を問い合わせた結果》学歴詐称疑惑の田久保眞紀・伊東市長「除籍であることが判明」会見にツッコミ続出〈除籍されたのかわからないの?〉
NEWSポストセブン