高橋社長は旧経営陣が行ってきたトップダウンのワンマン経営で染みついた、「けったいな社内文化」(高橋氏)を改め、社員の斬新なアイデアや新技術を積極的に採用する姿勢を取ってきた。その方針自体は健全だが、いつまでも業績回復に結び付かなければ意味がない。
「このまま赤字体質に逆戻りすれば、銀行からの経営圧力はますます高まってくるでしょう。中期経営計画の見直しも検討されているようですが、さらなる資産売却や技術の切り売りも覚悟しなければならない局面が来るかもしれません。
仮に白物家電に手をつけるようなことがあれば、最終消費財がなくなり家電メーカーの看板も下ろさなければなりません。社員のモチベーションや新たな経営資源の投入を維持するためにも、経営再建に残された時間は限られています」(前出・関氏)
シャープは脱液晶を見据え、医療やロボットなど6つの新規事業にも取り組んでいるが、かつて「亀山モデル」の薄型テレビで世界を席巻したように、一刻も早く“稼ぎ出す”事業を育てる必要がある。