物流システムを集約し、大勢の利用客の注文にも応じられる効率的な体制にしながら収益を確保できなかったのはなぜか。その裏には加熱する「配送料無料」のサービス合戦がある。前出の栗田氏がいう。
「全国展開する大手スーパーは約5000円以上の買い物注文をすると送料が無料になる設定をしていますが、普段の買い物はそこまで大きな額にはならないでしょうし、送料が500円もかかるとなったら、主婦の感覚からすれば『もったいない』と思うはず。
一方、地方エリアでは配送無料金額を3000円に設定したり、会員の自宅に不在ロッカーを設置するサービスを行うスーパーがあったりと、地場の強みを生かして顧客の争奪戦が激しくなっています」
もちろん、全国チェーンのスーパーも物流網の整備と並行し、即日配送など注文から配達までのリード時間を短くするなど利便性を前面に押し出して地方スーパーを圧倒している。また、西友が加工食品だけで6500品目を揃えているように、商品ラインアップの充実も大きな魅力となっている。
現在は少ないパイを奪い合う消耗戦の様相をみせるネットスーパーだが、「ネットに精通している世代も次第に高齢化していくので、5~10年後は大幅な市場拡大が期待できる」(栗田氏)と先行きに明るい展望もある。楽天やアマゾンといったeコマース企業も食品販売を強化する中、どれだけ消費者の“買い物需要”に応えることができるか。