ビジネス

1本220円のキリン「別格」シリーズ 成功生んだ「屏風作戦」

 商品価格1本220円というキリンビバレッジのプレミアム飲料ブランド「別格」シリーズが、発売2週間で年内目標の8割、80万ケースを販売した。この時代、高価格はブレーキにならないのだろうか。金色のパッケージは消費者に何を語りかけようとしているのか。作家の山下柚実氏が同社を訪ね、開発チームに話を聞いた。

 * * *
 パッケージの地は伝統的な市松文様。マットな質感の上品な黄金色に包まれている。まばゆい。「プロジェクトがスタートした時のコンセプトは、『世界一おいしい飲み物をつくる』でした」と同社マーケティング本部・三瀬浩之氏(34)は言った。

「通常の商品開発であれば、まずは予算の枠があり、その中で材料等を細かく工夫していきます。中身にかけられる開発費用は、お得意様の利益や配送コスト等を引き算していくと、必然的に決まってしまいます。しかし、『別格』はまさしく別格でした。コストという呪縛から自由だったからです」

 佐藤章社長の新体制のもと、「世界一おいしい飲み物をつくる」という目標を定めたことで、いわば採算度外視、使いたくても使えなかった上質な素材を活用しようという合意が生まれた。

「緑茶の葉は、とろみとうまみが強く香りが際立つ全国7産地から厳選した茶葉。茶葉の量は通常の2.5倍。低温45度でじっくり抽出しています。コーヒー豆はブラジル産のブルボン・アマレロ。ジンジャーエールは100%高知産のショウガをすりつぶして山椒等でアクセントをつけました。

 ウーロン茶は希少な黄金桂と鉄観音だけで淹れました。すべて香料を使わず、素材の味と香りを表現しています。つまり『別格』は引き算ではなく、足し算によって生まれました」

 例えば緑茶の開発において社長から100回もダメ出しがあったと聞きましたが。

「一口飲めばわかる美味しさをとことん追求したからですが、判断は超スピードで下していきました。全社一丸で、新社長就任から半年という、非常に短期間で発売まで漕ぎ着くことができました」

 それにしてもダントツに高い価格はリスクにならなかったのか。常識を打ち破るようなプレミアム路線へと踏み出していく動機はなぜ、どこから、生まれたのだろう?

関連記事

トピックス

今季のナ・リーグ最優秀選手(MVP)に満票で選出され史上初の快挙を成し遂げた大谷翔平、妻の真美子さん(時事通信フォト)
《なぜ真美子さんにキスしないのか》大谷翔平、MVP受賞の瞬間に見せた動きに海外ファンが違和感を持つ理由【海外メディアが指摘】
NEWSポストセブン
国仲涼子が語る“46歳の現在地”とは
【朝ドラ『ちゅらさん』から24年】国仲涼子が語る“46歳の現在地”「しわだって、それは増えます」 肩肘張らない考え方ができる転機になった子育てと出会い
NEWSポストセブン
柄本時生と前妻・入来茉里(左/公式YouTubeチャンネルより、右/Instagramより)
《さとうほなみと再婚》前妻・入来茉里は離婚後に卵子凍結を公表…柄本時生の活躍の裏で抱えていた“複雑な感情” 久々のグラビア挑戦の背景
NEWSポストセブン
インフルエンサーの景井ひなが愛犬を巡り裁判トラブルを抱えていた(Instagramより)
《「愛犬・もち太くん」はどっちの子?》フォロワー1000万人TikToker 景井ひなが”元同居人“と“裁判トラブル”、法廷では「毎日モラハラを受けた」という主張も
NEWSポストセブン
兵庫県知事選挙が告示され、第一声を上げる政治団体「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志氏。2024年10月31日(時事通信フォト)
NHK党・立花孝志容疑者、14年前”無名”の取材者として会見に姿を見せていた「変わった人が来るらしい」と噂に マイクを持って語ったこと
NEWSポストセブン
千葉ロッテの新監督に就任したサブロー氏(時事通信フォト)
ロッテ新監督・サブロー氏を支える『1ヶ月1万円生活』で脚光浴びた元アイドル妻の“茶髪美白”の現在
NEWSポストセブン
ロサンゼルスから帰国したKing&Princeの永瀬廉
《寒いのに素足にサンダルで…》キンプリ・永瀬廉、“全身ブラック”姿で羽田空港に降り立ち周囲騒然【紅白出場へ】
NEWSポストセブン
騒動から約2ヶ月が経過
《「もう二度と行かねえ」投稿から2ヶ月》埼玉県の人気ラーメン店が“炎上”…店主が明かした投稿者A氏への“本音”と現在「客足は変わっていません」
NEWSポストセブン
自宅前には花が手向けられていた(本人のインスタグラムより)
「『子どもは旦那さんに任せましょう』と警察から言われたと…」車椅子インフルエンサー・鈴木沙月容疑者の知人が明かした「犯行前日のSOS」とは《親権めぐり0歳児刺殺》
NEWSポストセブン
10月31日、イベントに参加していた小栗旬
深夜の港区に“とんでもないヒゲの山田孝之”が…イベント打ち上げで小栗旬、三浦翔平らに囲まれた意外な「最年少女性」の存在《「赤西軍団」の一部が集結》
NEWSポストセブン
スシローで起きたある配信者の迷惑行為が問題視されている(HP/読者提供)
《全身タトゥー男がガリ直食い》迷惑配信でスシローに警察が出動 運営元は「警察にご相談したことも事実です」
NEWSポストセブン
「武蔵陵墓地」を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月10日、JMPA)
《初の外国公式訪問を報告》愛子さまの参拝スタイルは美智子さまから“受け継がれた”エレガントなケープデザイン スタンドカラーでシャープな印象に
NEWSポストセブン