定年を迎えた男性が、いきなりまさかな趣味を始めてしまうことは少なくない。茨城県に住むパート勤務の女性Mさん(61才)の夫は、定年後、68才にしてバンドを始めたという。しかし、そのバンドがなんともひどい有様で…。
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中学時代、1年間だけブラスバンドで小太鼓を叩いていたダンナが、定年後すぐ「バンドやる」って言い出したの。
それで週に5日、仲間が退職金で作った“スタジオ”と称するプレハブ小屋に集まって、いったい何してんだか。…と疑っていたら、1年後。とうとう「ライブをやるから、よろしくな」って言うじゃない。
な~に、田舎にライブハウスなんて気が利いたものはありませんよ。お化け屋敷みたいなスナックを借り切って、いわば発表会。それでも張り切っちゃって、「やっぱりロックは見た目が大事だ」って、少ない髪の毛を金髪にして、革ジャンにボロボロのジーンズ。
で、当日。70才近いじいさん4人が上から下までお揃いを着て、ギターを抱えながら、緊張しまくってんの。客は家族と親戚と同級生だけなのに、出だしを何回も間違えるし。
せめて曲の最後の「せんきゅー!」だけでも…と思えば、ダンナだけ先走った。「おいっ、ちがう」「るせいっ! バカ野郎!」って、とうとう仲間割れまで始めちゃったから、もう、みんなお腹抱えて大笑いよ。
あれから半月。ダンナは「やつらとは音楽性が合わない」とまだ怒っているけど、もう一度見たいな~。親父大こけバンド。
※女性セブン2015年2月26日号