中国の旧正月「春節」を祝う7連休(2月18~24日)で中国人観光客が日本に押し寄せ “爆買い”パワーを見せつけた。この様子は連日テレビの情報番組などでも報じられたため、覚えている方も多いだろう。
炊飯器や温水洗浄便座などの家電製品とともに、彼らから人気なのがドラッグストアだ。渋谷のセンター街を歩いていた杭州から来た20代のカップルは、「マツモトキヨシやサンドラッグ目当てで来た」と語る。
「日本のドラッグストアは中国のネットで紹介されているから若者の間でも有名ですよ。商品がガラスケースに入っておらず、棚から自由に取れるのは、中国の薬局にはないシステムで便利です」
中国版ツイッター・微博(ウエイボー)や著名ブロガーたちの間では、日本の医薬品は「神薬」と呼ばれている。家電製品と同じく絶大な信頼を得ており、こんな“神話”までつぶやかれている。
〈1日で効果のない薬はすぐ店頭から撤去される〉
〈医者にかからなくても、売薬だけで病気が完治〉
訪日中国人たちは事前に日本製薬品を徹底チェックしている。とりわけ人気の神薬が「龍角散」。微博ではこう書かれている。
〈大気汚染によるノドの不調はこれで大丈夫〉
〈ピーチやマンゴー、ミントと味の種類も豊富〉
ある人気ブログには、世界各地を飛び回っている中国人女性が日本に行くたびに龍角散を大量に買い込んで喉の不調に備えていると紹介されている。
〈目薬のエルメス!〉〈セレブ女性の目薬〉と絶賛されているのが、「サンテ ボーティエ」。香水のような美しい容器に入っているのが特徴だ。化粧崩れに配慮した点眼しやすいノズルや、ほんのりバラの香りが漂うところも評価されている。渋谷のドラッグストアでは、40歳前後の中国人男性が棚にあるこの商品をすべて買い物カゴに入れ、在庫切れとわかると、「なんでないのヨ!」とカタコトの日本語で怒っていた。
ほかにも中国人が注目する「神薬」は数多い。額や患部に貼って熱をとる「熱さまシート」は、類似商品が中国にないため大人気。蒸気で目元を暖める「めぐりズム」も同様だ。他には新生児用爪切り、哺乳 や離乳食といったベビー用品への信用度が高い。
※週刊ポスト2015年3月6日号