事実、ツイッターやフェイスブック等、ネットにリアルタイムで書き込まれるトレンドワードを見ると、オンエア中ないしはオンエア直後の番組名や出演者名、取り上げられたテーマなどが軒並み上位に来る。テレビ画面には、番組のハッシュタグを含めたツイートが流れるなど、スマホを片手にテレビを観る視聴スタイルも定着した。
昨今のスマホゲーム大量出稿はこういったテレビ視聴者とスマホユーザーの相性の良さにも起因しているが、もう一つ理由があるのではと語るのは、長年ネット業界にかかわる編集者の中川淳一郎氏だ。同氏の著作・『ウェブはバカと暇人のもの』(2009)の第3章は『ネットで流行るのは結局「テレビネタ」』と題されており、元々テレビとネットの相性の良さを指摘していた。
「ITベンチャー企業にとって、テレビCMを流すこと自体が、一つの企業広報になっています。というのも、テレビCMはまだまだステイタスがあり、テレビCMを流すことが株主を安心させることとなり、さらには優秀な人材を集めるための採用活動にもなるから。
伝統ある企業以上に、ITベンチャーにとってCMの果たす意味は大きい。テレビ局も広告は欲しいですし、商品広告をしつつも、企業広報も同時にできるテレビCMは両者の思惑が一致するのです。かつて『むじんくん』(武富士)とか『チワワのくぅ~ちゃん』(アイフル)で消費者金融のCMが大量に流れ、それまでのダークな『サラ金』イメージを若干ポジティブなものに変えた。スマホゲームがここまで多く流れるのも似たような側面があるのではないでしょうか」