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【書評】日本のカジノ解禁を前に新たな観光の可能性探る一冊

【書評】『カジノミクス』(小学館新書)/778円

【評者】徳江順一郎(東洋大学 国際地域学部准教授)

 ここ数年、わが国では、カジノが解禁されるのではないかという話がずっとささやかれている。実際、国会議員の間で、通称「カジノ議連」が結成されて法案が提出されているのも事実である。

 シンガポールでは2010年からカジノがオープン、韓国やフィリピンでもカジノが有力な観光資源となっているなか、わが国だけが現状のままで「観光立国」を目指せるかといえば、それはなかなか難しい面もあるのかもしれない。

 本書は、賭博に関する世界各国の歴史、現状、負の側面などがコンパクトにまとめられている。

 また、カジノが認められていない日本において、宝くじ、競馬、競輪、オートレース、競艇、サッカーくじ等がなぜ認められているかについても、わかりやすく論じられている。こうした“事実上の賭け事”に近い存在を合計すると、実はわが国は、世界でも有数のカジノ大国といえるのだそうだ。

 一方、ギャンブル依存症など、負の側面に対する対策は、これまでほとんどなされてこなかったのが現実である。

 米国には、MBA取得者が多数在籍し、上場を果たしているカジノ企業もあり、そうした企業では依存症対策などもきちんとなされているのだという。今後、わが国でカジノが解禁されるかどうかはわからない。

 しかし、議論にさえ加わらずに感情的な反対を唱えるのではなく、賛成するにせよ反対するにせよ、基本的な知識は最低限持つべきであり、世界の現在の状況について知っておくことに損はない。

※女性セブン2015年3月19日号

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