ちなみに独立行政法人労働政策研究・研修機構の調査(2014年6月)によると、現在の企画業務型裁量労働制の適用対象者の年収は700万~900万円未満が34.4%、500万~700万円未満が29.2%、300~500万円未満が13.3%となっている。今回の適用者の拡大で当然ながら年収300万円程度の年収の人の多くも対象となるだろう。
ここまで見てくると、政府・経済界のシナリオが透けて見えてくる。
高度プロフェッショナル制度の適用によって中高年の高額年収者の残業を剥ぎ取り、1000万円以下の社員については裁量労働制の導入によって残業代を削減していく(裁量労働手当や深夜・休日労働の割増賃金は残るから)。
そして時期を見て、第二弾は法改正によって年収要件を引き下げ、一切の残業代支払いをなくしていく。つまり「残業代ゼロ」社会の実現だ。