実際、それは私がこれまで出会ってきたお金持ちのケースにも当てはまります。典型的なのが、先祖代々の土地を引き継いできた地主でしょう。東京23区内に1000坪以上の土地を保有しているような大地主が親族の資産管理会社でアパートやマンション、コンビニなどを経営しながら、公務員など手堅い仕事に就いている。このようなお金持ちは派手な振る舞いを好まず、節税や相続対策を心がけて資産を守ることで結果的に財を成していたりします。

 ましてや、お金持ちは子どもの教育にもお金をかけることができるので、お金持ちの一族がどんどんお金持ちになっていくという循環もあります。一方で、働くことを最大の価値にしたとしても、それだけではお金持ちになれないケースも山ほどあって、その差はどんどん開いていく。そのような格差の拡大についてもピケティ氏は「歴史的事実」と位置付けており、これは私自身の経験からいっても納得できる内容といえます。

 資本所得でお金持ちになるには、やはり世界のお金持ちから学べることはたくさんあります。この本にも、お金持ちがさらにお金持ちになっていく根拠が網羅されています。そのひとつが、資産が大きいほど運用利回りが高いという歴史的事実です。

 実は、お金持ちほどリスクをとって運用しています。同書の中では米国の総所得におけるトップ十分位(10%)の100年間の所得構成の推移を示したグラフが掲載されていますが、最もお金持ちであるトップ1%のブレが非常に大きい。

 相場の変動が激しい運用先に資金を投じているからこそ、一般的な投資信託を通じた国際分散投資などの伝統的な投資を上回る収益を生み出している。何のリスクもとらないでお金持ちになっているわけではないことがよくわかると思います。

※マネーポスト2015年春号

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