■Tプロデューサーから言われたひとこと

 あまりにも過酷なチャレンジを強いた土屋氏とは、昨年十数年ぶりに会ったという。「エベチャレ」について説明するも、最初は意義などについて理解できなかったようだが、話をしているうちに、「ハガキ一枚一枚、地道に書き続けている姿と、エベレストの頂上に向けてお前が一歩一歩歩いている姿と重なったよ。そしてそれを全国の人が応援してくれているということも『電波少年』と似ている。『電波少年』が今のおまえの原体験で、きっかけは俺が作ったのかもしれないね」と言われたようだ。

「恨みはゼロかというと嘘になりますが、今あるのはやはり電波少年のおかげ。土屋さんにはとても感謝しています」

 複雑な思いを抱きつつも、土屋氏と番組に感謝するなすび。現在は福島の復興に向けた活動に勤しむ。東京で舞台をこなす多忙な身ながらなぜ福島と東京を行き来するのか。

「『電波少年』が終わった後、福島県内でレギュラー番組を5年やらせてもらい、福島の人には本当によくしてもらったんですよ。いつか恩返しをしたいと思っていたところで、震災が起きました。林修先生じゃないけど、『恩返しいつやるの。今でしょ!』という感じで。今では毎週のように何かしらやらせていただいています。幸い福島の人にはすごく喜んでもらえるし、自分も嬉しいですよ。テレビにはそれほど出ていないので、よく『どうやってメシ食ってるの?』なんて言われますが、贅沢もしていないので、なんとか食べていけていますよ」

 現在、なすびは福島県二本松市の郷土料理「ざくざく」のプロモーション動画にも登場するなど、地元を盛り上げる活動にも参加中だ。二本松のご当地キャラ「菊松くん」とともに伝統的おもてなし料理の「ざくざく」の作り方を歌とともに紹介し、観光名所・霞ヶ城公園では地元の人々とともに踊りを披露している。

 この動画をプロデュースしたソーシャルメディアプロデューサーの熊坂仁美氏は、「私の作る動画にはいつもなすびさんに出演していただいてます。「当選の舞」(懸賞が当たった時の舞)を思わせる独特のパフォーマンスや底抜けに明るい笑顔でみんなを元気づけ、動画を盛り上げてくれます。福島のプロモーションにはなくてはならないタレントです。今回、動画制作にあたり、市の観光課からは『なすびさん出演で』と条件があり、実現しました」と語る。

 まさに「指名」だったわけだが、市としては、なすびのどこに魅力を感じているのか。二本松市の新野洋(しんの・ひろし)市長はこう語る。

「なすびさんには、今回のざくざくのプロモーション動画だけでなく、安達太良山の山開きなど、二本松の重要なイベントにはいつも参加をいただいて、非常にありがたいと思っています。時には『無理をかけているかな』と思うぐらいに真剣に関わっていただいて、なすびさんの熱い想いをいつも感じています。人間的に素晴らしい方だと思います」

 動画でも地元の人々から愛されている感じが伝わってくるが、いずれにしてもなすびは大絶賛されているのである。ならば当人はどう考えているのか。

「二本松市の人は熱くて、常に一緒に福島を盛り上げようという気持ちがあります。私もそれにこたえたくて、今回参加させてもらいました」

 6日にはエベレスト登頂に向けて旅立つが、なすびは3日、ツイッターで「なすびエベレストへ向けて出発決定!!! これもみなさまの応援のおかげであります。まだ達成には少し足りておりませんが今後共応援よろしくお願い致します」と寄付への感謝の気持ちを述べている。「元電波」の面々は実にたくましく生きている。

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