気に入った女性を口説く場合、「まずは美味しい食事を食べて…」というやり口は、もっともオーソドックスなものだ。ところがこれは間違いの可能性が高い。
メーカー勤務のA氏(31)は取引先のB子さん(27)を何度も誘った末、ついにデートの約束を取りつけた。A氏は高級イタリア料理店を予約。緊張の面持ちでその夜を迎えた。
B子さんは雰囲気のある店内と豪華なディナーに大満足の様子でワインもすすんだ。デザート後、「お腹いっぱい」と笑う彼女をすかさず「じゃあもう一軒」と狙い通りに誘ったA氏だったが、「また今度。ごちそうさまでした」とあっけなく断わられてしまった。
「ムードづくりは完璧だったはずなのに……。テレビドラマや映画は嘘なんでしょうか」(A氏)
傷心のA氏だが、B子さんの脳内はこうなっていた。
「脳内の満腹中枢と性中枢は非常に近い位置にあり、食事で快楽欲望が満たされると、セックスによる快楽欲求が低下する。豪華なディナーで満足してしまうとその後のベッドインへのハードルが逆に上がってしまうといえます」(成城松村クリニックの松村圭子氏)
ホテルで豪華ディナーをした後に「今日は部屋を取ってあるんだ」というドラマによくある誘いは、脳科学的には不正解なのだ。
※週刊ポスト2015年4月17日号