「病院に行くほどではないけれど、何だか具合が悪い」こと、ありますよね。医食同源とはいうものの、そんな時は何を食べればいいのか? 管理栄養士・料理家の岩崎啓子さんと医学博士の石川みずえさんの2人が、親身に教えてくれました。
――年を重ねるにつれて、疲れやすさが増したり、不調を感じることが多くなります。特に女性が気をつけたいこととは?
石川:疲れやすい人に話を聞くと、糖分を摂りすぎているケースが多いですね。菓子パンや甘いものを食べて、それでお腹がいっぱいになって満足してしまうとか。
岩崎:美容にいいイメージが強いせいか、果物を摂りすぎてしまう人も多いようです。
石川:血糖値が上がったり、カロリーオーバーで中性脂肪が増えたりするので、果物であろうと摂りすぎはよくないです。しかも糖分は、代謝する時にビタミンBを使ってしまいます。
岩崎:疲れている時は、甘いものよりも、ビタミンB群の豊富な豚肉やうなぎを食べた方がいいですよね。
石川:そうなんです。疲労回復のために、ビタミンBは大事な要素。
岩崎:疲れやすさ以外だと、頑張ってもなかなかコレステロール値が下がらないという話もよく耳にします。
石川:年齢が高くなるとホルモンバランスが変わってくるので、気をつけていてもコレステロール値が上がりやすくはなりますね。
岩崎:普段からバランスのよい食事を心がけていれば、極端な数値にはなりにくいですよね。
石川:そうですね。
――おふたりが食生活で心がけていることは?
石川:なるべく旬のものを食べるようにしています。野菜はたくさん摂っているので、たんぱく質をどう摂るか、つまり肉や魚をうまく交ぜて、栄養が偏らないよう注意しています。
岩崎:旬の野菜は栄養価が高いだけでなく、味が濃くておいしいんですよね。私も季節ごとの食材の味を、きちんと楽しむようにしています。
石川:“ちゃんとしたもの”を食べるのって大切ですよね。
岩崎:ファストフードや加工食品を忙しい時に上手に使うのはいいと思うのですが、多用はおすすめできませんね。ジャンキーな味に慣れてしまうでしょうし。
石川:飲み物にしても、ジュースやコーヒーなど「甘さ控えめ」とうたっていても、実際はかなり糖分が入っています。
岩崎:4月から食品表示規制が緩和されたので、今後そうした傾向は強まるかもしれません。自分で情報を求めていかないと、体にいいものが摂りにくくなりそうです。
――体調が悪くなると、食生活の大事さを痛感します。
石川:女性は自分の食事は手軽に済ませてしまいがちだから、気をつけた方がいいですね。
岩崎:深刻な状態なら病院に行かないといけませんが、「だるいけれど、何か食べておかないと」という時、ちょっとしたことでいいので、工夫することをおすすめしたいです。つくる元気がなくてサンドイッチで済ますのであれば、「たんぱく質の高いチーズを入れておこう」とか。
石川:食養生によって病院へ行かずに済むということはあると思います。それとともに、「不調」の種類を自分で分類できることも大切です。「疲れた」時に栄養価の高いものを摂るのがいいのか、胃腸も疲れていて消化のよいものを摂った方がいいのか。人により状況によって異なります。自分の体とよく対話してほしいですね。
岩崎:若い人にはわかりづらいかもしれませんが、年を追うごとに自分のパターンがつかみやすくなると思います。
※女性セブン2015年5月7日号