スケールはぜんぜん違いますが、サラリーマンの世界でも自分が過去に作った実績や記録が、後輩によって塗り替えられるケースはよくあります。数少ない過去の栄光が脅かされた場面で、もっともやってはいけないのは、「今は時代が違うから」などと後輩の偉業に難癖をつけること。人間の小ささや「もやは過去の人感」を際立たせてしまいます。
後輩がすごいことを成し遂げて、たとえば上司がちょっと意地悪な感じで「〇〇君のお株を奪われたねえ」と言ってきたときは、「彼が塗り替えてくれると思っていました」「どこまで数字を伸ばすか、先輩として楽しみに見守りたいですね」などと祝福して大人の貫録を示しましょう。さらに「あれだけの営業マンは、今世紀は出てこないでしょうね」と大げさにホメれば、間接的に自分も持ち上げることになります。
ただ、たいていの人は、後輩に抜かれるほどの過去の栄光は持ち合わせていません。その場合も、とくに根拠もなく「どんどん抜いていってほしいね」と余裕を見せたり、「これからは彼らの時代だね」と道を譲ったような言い方をしたりすることで、華々しい実績の持ち主であるような顔ができます。ま、もちろん錯覚にすぎませんが。
現在、プロ野球で破られそうな大記録としては、野村克也さんが持つ最多試合出場があります。3017試合という記録に、2015年のシーズンが始まった時点であと26と迫っているのが中日の谷繁元信選手兼任監督。このところ出場の機会が減ってはいますが、ぜひ今シーズン中に新記録を達成してもらいたいものです。そのときに野村さんは、どういうコメントを出すのか。野村さんらしい大人げないコメントを期待しましょう。