ナ:確かに、特にアイスはその現象が大きいように感じます。今の10代は、ネイティブにソーシャルネットワークを使う世代なので、おそらく世代層的にもハマりやすいんだと思います。購買層としては40~50代のかたが多いのですが、若い世代も、「実家にいつもある」「田舎に帰ると食べていた」など、あずきバーの認知度はある。今買ってもらえなくても知ってくれて、話題になってさえいれば、いつか買うときがくるはず。そのために、「あずきバーって、どんだけ硬いんだよ!」「じゃあ100円出してみるか」となれば、それでこちらは大満足です。
――そもそもあずきバーは、なんでそんなに硬いのですか?
ナ:材料に添加物が一切入ってなくて、純粋に小豆と砂糖と塩とコーンスターチと水だけ。なので、まるで氷のよう。まさにぜんざいを凍らせた感じ。ピュアな小豆、そのままです。
――あずきバーでぜんざいも作っていましたよね?
ナ:「あずきバーをレンジでチンしたら、ぜんざいになりました」とつぶやいたところ、ツイッター開始1か月で、スマッシュヒット! 約1万件リツイートされました。1か月たって200~300人のフォロワーしかいなくて、どうしよう…と焦っていたところだったので、一気に1万人もフォロワーが増えてビックリ。あずきバーをチンしたら…ただ元の材料に戻るだけなんですが(笑い)。
――これはナカノヒトさんが、実際に試したのですか?
ナ:はい。ぼくが会社の前のコンビニにあずきバーを買いに行って、リアルに実験しました。「遊んでいるわけではなく、本当なんですよ」という意味も込めて、レシートも公開しました。また、冬は販売数がどうしても落ちるので、11月ころから「冷蔵庫の整理、大丈夫ですか? 奥にあずきバーの忘れものありませんか? レンジでチンして、ぜんざいにしてどうぞ!」というつぶやきもしています。
――ちなみに御社の主力製品はやっぱり、あずきバーですか?
ナ:そうですね。年間約2億6千万本売り上げています。一昨年の2億6700万本が最高です。おじいちゃんが買って来て、子供も食べる…こうして代々受け継がれてきました。あんこに関しては、昭和37年発売の『ゆであずき』が主力。ヘビーユーザーが多い商品で、少し変えただけでもお叱りを受けるので、簡単には味を変えられない商品です。
もともと井村屋は明治29年創業の小さな菓子舗で、主にようかんを扱っていました。最近は、当時の主力製品であるようかんに、もう一度光を当てようと、食べる人の視点にたって、新しいようかんを提案。防災用の保存食として使える『えいようかん』や、スティックタイプで、片手で食べられるランナー向けの『スポーツようかん プラス』なども新しく開発しました。
――ツイッター上で、話題になったり論争になったりするテーマはありますか?
ナ:「つぶあんとこしあんの話はしません」と、何回かツイートしてるんですけど、必ず大論争に発展するんですね(笑い)。みなさん、こだわりがあるから炎上しやすいのかも。あえてそういう風に言うと、みなさんのってきてくれて、自然と論争が始まるんです。
ちなみに、同じものだけど呼び方の違う、「おしることぜんざいの話もしません」って言うと、こちらも大論争に。当社では、単純につぶが入っているものは「ぜんざい」、入っていないものは「しるこ」と呼んでいます。
その日スーパーに行って、おしるこ、ぜんざいというワードを思い出して、手にするきっかけになってくれたらラッキーですね(笑い)。