国内

都構想住民投票 橋下流の常套戦術に大阪市民から「またか」

投票日の直前まで街頭演説などで奔走した橋下徹氏

 政治生命を懸けた橋下徹・大阪市長vsそれ以外のオール会派の争いとなった「大阪都構想」は5月17日の住民投票で審判が下された。市民そっちのけでお互いを罵り合う、官邸や中央政界を巻き込んだ壮絶バトルは、かつて「中央政界に嵐を呼ぶ男」と呼ばれた橋下氏の顕著なスケールダウンを見せつける結果となった。

 戦いも終盤を迎え、決戦まで残り1週間を迎えた週末の9日、橋下氏の姿は西成区で開かれた大阪維新の会主催のタウンミーティングにあった。約1000人の聴衆が詰めかけ、立ち見が出る大盛況だった。

 登壇した橋下氏は「府と市の二重行政の無駄を解消する」とお決まりの訴えもそこそこに、演説の大半は「自民や公明、共産は嘘ばかり」、「町内会で回覧板に反対ビラを付けて回している」と反対派への攻撃やデマ批判に費やした。会場にいた主婦(60代)は眉を顰めた。

「まるで独演会。もっと中身について話し合いをすればいいのにすぐに白黒つけたがる。最初はズバッとした切り口にスカッとしたけど、最近は極端すぎて怖いわ……」

 大阪都構想は大阪市を廃止して5特別区を設置し、大阪府と再編する案だ。5つの区の中でも橋下氏が重点的に演説に訪れたのは労働者の街「あいりん地区」を抱える西成区が編入される「中央区」と、カジノ導入を目指す「湾岸区」だったが、これに反対する市民が多かった。

「湾岸区は、愛着ある区の名前を捨てて工業地帯みたいな名前になることを嫌う声が多い。橋下氏は“横文字ではベイエリア、世界ではどこも一等地”と訴えたが、そんな説明では誰も納得しない。市主催の説明会では野次と怒号が飛び交い、橋下氏が退場命令で応酬する場面もありました」(在阪新聞記者)

 橋下氏に変化が見られるようになったのは決戦終盤の頃からだった。

「賛成有利から反対有利に変化した最終週の世論調査結果に相当焦ったようです。街頭演説では反対派の政党、学者やメディアなどを片っ端から批判し、顔つきから余裕が消えました」(同前)

関連キーワード

関連記事

トピックス

サークル活動に精を出す悠仁さま(2025年4月、茨城県つくば市。撮影/JMPA)
皇室に関する悪質なショート動画が拡散 悠仁さまについての陰謀論、佳子さまのAI生成動画…相次ぐデマ投稿 宮内庁は新たな広報室長を起用し、毅然とした対応へ
女性セブン
定年後はどうする?(写真は番組ホームページより)
「マスメディアの“本音”が集約されているよね」フィフィ氏、玉川徹氏の「SNSのショート動画を見て投票している」発言に“違和感”【参院選を終えて】
NEWSポストセブン
スカウトは学校教員の“業務”に(時事通信フォト)
《“勧誘”は“業務”》高校野球の最新潮流「スカウト担当教員」という仕事 授業を受け持ちつつ“逸材”を求めて全国を奔走
週刊ポスト
「新証言」から浮かび上がったのは、山下容疑者の”壮絶な殺意”だった
【壮絶な目撃証言】「ナイフでトドメを…」「血だらけの女の子の隣でタバコを吸った」山下市郎容疑者が見せた”執拗な殺意“《浜松市・ガールズバー店員刺殺》
NEWSポストセブン
連続強盗の指示役とみられる今村磨人(左)、藤田聖也(右)両容疑者。移送前、フィリピン・マニラ首都圏のビクタン収容所[フィリピン法務省提供](AFP=時事)
【体にホチキスを刺し、金のありかを吐かせる…】ルフィ事件・小島智信被告の裁判で明かされた「カネを持ち逃げした構成員」への恐怖の拷問
NEWSポストセブン
2人は互いの楽曲や演技に刺激をもらっている
羽生結弦、Mrs. GREEN APPLE大森元貴との深い共鳴 絶対王者に刺さった“孤独に寄り添う歌詞” 互いに楽曲や演技で刺激を受け合う関係に
女性セブン
「情報商材ビジネス」のNGフレーズとは…(elutas/イメージマート)
《「歌舞伎町弁護士」は“訴えれば勝てる可能性が高い”と思った》 「情報商材ビジネス」のNGフレーズは「絶対成功する」「3日で誰でもできる」
NEWSポストセブン
入団テストを経て巨人と支配下選手契約を結んだ乙坂智
元DeNA・乙坂智“マルチお持ち帰り”報道から4年…巨人入りまでの厳しい“武者修行”、「収入は命に直結する」と目の前の1試合を命がけで戦ったベネズエラ時代
週刊ポスト
組織改革を進める六代目山口組で最高幹部が急逝した(司忍組長。時事通信フォト)
【六代目山口組最高幹部が急逝】司忍組長がサングラスを外し厳しい表情で…暴排条例下で開かれた「厳戒態勢葬儀の全容」
NEWSポストセブン
ゆっくりとベビーカーを押す小室さん(2025年5月)
小室眞子さん“暴露や私生活の切り売りをビジネスにしない”質素な生活に米メディアが注目 親の威光に頼らず自分の道を進む姿が称賛される
女性セブン
手を繋いでレッドカーペットを歩いた大谷と真美子さん(時事通信)
《「ダサい」と言われた過去も》大谷翔平がレッドカーペットでイジられた“ファッションセンスの向上”「真美子さんが君をアップグレードしてくれたんだね」
NEWSポストセブン
パリの歴史ある森で衝撃的な光景に遭遇した__
《パリ「ブローニュの森」の非合法売買春の実態》「この森には危険がたくさんある」南米出身のエレナ(仮名)が明かす安すぎる値段「オーラルは20ユーロ(約3400円)」
NEWSポストセブン